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{Zwei} 前回はクリナーレ…『Drei』を調べた。 中身は『Vier』とほぼ同じだったんでそれほど驚愕はしなかった。 残念ながら俺の記憶に関する事は書かれていなかった…。 まぁ、そりゃあそうだよな。『Drei』に関するデータだったんだからな。 …あれ、前もこんなセリフ言ってなかったっけ? まぁいいや、で今日は『Eins』『Zwei』の二個中の一個、『Zwei』のセキュリティーを突破する事に成功した。 ホント、セキュリティーを突破するのにどれだけの労力を使ったことやら…。 「ツヴァイ…どんな事が書かれているかな?」 注意深く見ながら次々に色々な項目を見ていく。 西暦2027年12月×日 我が社が武装神姫というプロジェクトに参加するになった日。 そこで我が社はオリジナル、つまり試作型MMS(Multi Movable System)を開発する事になった。 試作型の数は四体。 西暦2029年2月1×日 この時はまだ武装神姫は一般に公開されていなかった。 『Zwei』は『Eins』と一緒に誕生したMMS。 『Zwei』の識別はAngel Type Version Two。 西暦2030年4月2×日 攻防システムでトレーニングした結果。 近距離能力: ◎ 中距離能力: ○ 遠距離能力: ○ 攻撃能力: ○ 防御能力: △ 加速能力: ◎ 最高速度能力:○ いずれは近距離関係に特化したMMSになると予定される。 ※Devil Type Version Oneの『Drei』と酷似しているが、『Zwei』の場合、奇襲や襲撃という敵の不意をつく攻撃が得意と判明。 近距離関係といってもヒット&アウェイに近い戦法になるだろう。 西暦2030年8月×日 『Eins』と平行に製作された『Zwei』は近距離奇襲攻撃に特化したMMSに決定された。 暴走の危険は多少検知された。危険度は20%。 だが、暴走の危険に注意しこのまま更なる研究を続ければ、通常のMMSよりも数十倍の能力を引き出せると肯定した。 他の武装神姫に比べ、体重が軽い。 西暦2030年10月×日 『Eins』の状態が急変したのを我が社のスーパーコンピューターが察知。 人間の『感情』というものを身につけた。 原因は不明、この事がきっかけとして『Eins』と平行に製作されたいた『Zwei』とは別々に研究される事になった。 今だに何処にも支障がない『Zwei』はそのままプロジェクト研究を続ける。 『Eins』は一時中断、西暦2030年10月2×日に別のプロジェクト研究に移行。 西暦2030年12月1×日 度重なる訓練の結果、複数の敵でも瞬時に判断し撃退する事も可能と判明した。 今では強化された複数のレプリカと戦闘を行っても易々と迎撃し、レプリカは全滅。 武装も従来着用されるよりオリジナル武装の方が能力強化される事も判明。 更なる能力向上を決定された。 だが、問題点は暴走の危険度が20%ある事。 能力向上する事は決定されているが、過度の力は素体とコアの負担になる。 要注意して研究を進める事が義務づけられた。 西暦2031年5月1×日 『Eins』が原因不明の暴走。 研究員14人、機動隊32人を惨殺。 『Eins』の暴走を停止するため『Zwei』に迎撃させたが、残念ながらいまひとつ成果は得られなかった。 こうなってしまったら『Drei』『Vier』も同じ結果になると推定され試作型MMSによる迎撃は不可能と判断。 暴走してから数十分が経過した時、『Eins』の近くに居た一人の少年によって『Eins』の暴走を止める事に成功した。 少年の名は…ある研究員の保護により記載されていない。 西暦2031年5月1×日 上記に記されいる日付と同時刻に『Eins』の暴走を停止するため『Zwei』が迎撃に向かったが返り討ちにあい、素体に損傷・内部回路に損傷。 『Zwei』の素体は軽傷だが内部回路は重傷。 どうやら『Eins』の攻撃は外部・内部に別けて攻撃可能と予測。 内部回路はズタズタにされ損傷は激しく、一部の記憶デバイスを犠牲にして修理する事が決定された。 記憶デバイスの内容は不明。 機密事項である。 幸いと言えば、コアが破壊されてないのでデータは健在である。 西暦2031年5月1×日 突如の『Eins』の暴走事故により、試作型MMSの研究は一時的に凍結。 研究の中断は余儀なくされ、確定は確実。 『Eins』『Zwei』『Drei』『Vier』はこの日をもって完全凍結された。 西暦2040年5月1×日 武装神姫が稼動、発売されてから9年。 ※神姫タイプ以外のMMSはこの限りではない。 武装神姫のシステムが総合的にバージョンアップし、ある程度安定してきた。 しかも武装神姫の人気は徐々に上がっていくのを見て我が社の試作型MMS研究を再開される事が決定した。 しかし、いくらバージョンアップしたとはいえ、9年前同様に暴走してしまったら危険。 我が社は試行錯誤を繰り返した結果、試しに人間と生活させる事にした。 人間と一緒に生活させれば、我々人間がどのように生きているのか生活面の知識が増えるだろうと予測。 そうする事によって我が社の四体の試作型MMSはこの世の中の知識を身につける。 そうすれば、人間がMMSをどのように使役してるか自分達がどのような存在か知る事になる。 結果、試作型MMSは自分達がどのような存在か理解し、無駄な抵抗をしないまま研究できる。 しかし、ここで少し問題が発生した。 この四体の試作型MMSと一緒に生活する人間を決めなければならないという問題。 我が社の人員から選んでもよかったのだが、9年前の事故によって誰もが拒否した。 だが、斉藤朱美研究員のスカウトによって一般人がこの大役を受け持つ事になった。 現在は 斉藤朱美研究員の弟、天薙龍悪に四体の試作型『Eins』『Zwei』『Drei』『Vier』監視をさせ、今に致る。 ここで文章が終わっていた。 「…少し変わったな」 このデータで一つ謎のピースが解った。 『Eins』の事故の詳細が少し解ったのだから。 それと『Eins』と『Zwei』は別々のプロジェクトに移されたみたいだ。 正確に言えば『Zwei』はそのまま予定通りに研究され『Eins』はまた別のプロジェクトに移された、と言えばいいかな。 しかし、『Eins』とバトルして重傷とはな。 データを見ると記憶デバイスを犠牲にした、と記されていたが…いったい何の記憶だ? …にしても酷い攻撃をクラッタに違いない。 …これがルーナの過去かぁ。 可哀想な過去だな。 「そういえばっ…」 今思った事。 あいつらには、この今までの記憶というものが無いのか? そこら辺どうなんだろう。 訊いてみたい所だが、正直、気が引ける。 今まで見てきたデータでは三人とも感情がないように見えるし。 データの画像を見て、それがハッキリする程の無表情だ。 …なんか嫌だな。 あいつ等の過去を無断で見るのは。 罪悪感もあるし、俺の良心が痛むのは当たり前。 もっと悪く言えば俺は土足であいつ等の心の中にズカズカと入っていくようのものだ。 …あぁ~! そう考えてきただけで自分にイラついてきた。 でも、俺はどうしても調べないといけない。 あいつ等の事を考えながらも結局調べて見る、この行動。 矛盾してるがしょうがない。 後一つ、『Eins』が終わるんだ! あれが終わればもう見る必要もなくなる。 もう遅いかもしれないけど、今、謝っとく! 「ゴメン!」 俺しかいない地下部屋で俺の声が響く。 無意味な行動だが、やっとかないと良心の呵責に押し潰されそうだったから言った。 時が来たら、いつかは面と向かって言おう。 だから…もうちょっとだけ、お前等の事を調べさせてくれ! 「(c) 2006 Konami Digital Entertainment Co., Ltd.当コンテンツの再利用(再転載、再配布など)は禁止しています。」
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センターにつくと卓三と大輝が待っていた。 二人の神姫、アーンヴァルのミレイユとジルダリアの椿も一緒だった。 隆「おぅ」 卓「おぅじゃねーよ。お前まだ可凜ちゃん素体のままかよ。」 隆「そう急くな。それを今日解決しに来たんじゃないか。」 ミ「おはようございます可凜さん☆」 可「ん、おはようミレイユ」 ミレイユと可凜が挨拶を交わす。椿は 「……グゥ」 大「ハハ、昨日ちょっと忙しくてね、寝不足なんだ。」 (つくづく不思議な存在だよな神姫は…) さてと、と一息 俺達は中に入った。 相変わらずごった返している。 大「で、どんな服にするんだい?」 隆「そうだな。可凜はアクティブだから普段着は軽装がいいな。元々オーバーニー履いてるし…何をニヤニヤしてやがる」 卓「いやぁ、大体最初ストラーフ派だったお前にしちゃよく考えてらっしゃるなぁと思ってなw」 隆「笑えない冷やかしを言うなよ。あれは神姫の『し』の字もわからなかった事の印象だぜ?」 「…そうなんだ…。」 ハッとして可凜を見る。何て切ない顔をしてやがる…。 「隆斗は子悪魔キャラが好きなのか…。」 「イヤ、ホラキャラって言うか悪魔型だろあれはっ。それにあのヒュッケバ○ンボクサーっぷりが印象よかっただけだ」 そりゃもう慌てて弁解ですよ。不信感を与えちゃいかん。 信頼されなくなったら益々俺の必要性がなくなる…。 卓「ッハハハwお前らいいコンビになるぜっ」 どうやらただからかわれただけのようだ。が、こっちはシャレで済みそうにないぞコノヤロー(泣) その後可凜のご機嫌を戻し、普段着とお洒落着を数着買った。 「そんじゃバトルといくか」 ネット対戦台に向かった。 先に卓三とミレイユが戦い 難無く勝っていた。 結構強いのかあの二人… 次の人も終わり俺の番になった。 今回の可凜の装備は至って普通の武装にしたが、腰から十手とマガジンを下げて背中にブースターをつけてみた。 対戦相手は… 通常武装の ジルダリアだった。 『可凜vsフレイア』 大「ジルダリアか、気をつけて。彼女は開花する…!」 「…?」 俺の疑問はよそに、相手の顔は自信に満ちた顔だった。
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本当にどうでもいい設定とか色々 (物によってはネタばれの危険性を含みます。閲覧する際は十分に注意なさってください) カスタムメーカー『Genius Johnny zoo』 BLADEダイナミクス社を定年退職した社員、ジョニーさん(米系日本人)が起業した会社。彩女はここで作られた。 社長を園長、社員を飼育員と呼ぶ不思議な会社。通称天才ジョニー動物園。 余談だが園長はジョニー、副園長はマイケル田中、あとの社員はダニエルとかジョージとかマーフィーとかたくさんいる模様。 でも純正日本人は少ない。なぜだ。 カスタムコンセプトは『とにかく動物。BLADEダイナミクスじゃやらないような動物。あとマッジョ~ラ可愛いの!』で現在十体ほど稼動しているらしい。 麒麟型やマングース型、カモノハシ型などどこかずれたカスタムを連発するメーカーである。 ライオン型はどこかの騎士にどこと無く似ているらしいが定かではない。他にも竹刀を持った虎型などが存在する。 ただし彩女は一品物のオーダーメイドで制作されており、同じタイプは存在しない。 ホワイトファング内における神姫バトル 基本はヴァーチャルバトルオンリー。 リアルバトルは出費がかさむしなにより神姫が傷つくのがいや、という人が多いためである。 筐体内に再現された戦場は現実とほぼ変わらない。そのため小道具(小麦粉やら車やら)も充実しているし、現実と同じように使用が可能である。 神姫の耐水性 塩水につからない限り基本は問題ないが、魚型やイルカ型以外は水に沈む。 魚型の素体を使用しているアメティスタは沈まない。 水遊びをした場合はきちんと拭いてあげましょう。 食事機能 コミュニケーション機能の一部として付加されているが、オプションであり普通の神姫にはまずついていない。 彩女はこの限りではなく初期状態から付加されている。 記四季の自給自足生活 基本自給自足な記四季の生活であるが調味料などはこの限りではない。 鍋などは流石に買っているし一応ガスも電気もネット回線もちゃんと通っている。ただし水は山の湧き水や地下水を使用している。 さらに山で取れる物(野草などの山の幸や熊とか猪の肉)やそれを使って作ったもの(陶器とか発酵食品とか漬物とか)を近所(山の麓)の人たちと交換したりしている。 ご近所さん(ほとんど老人)には仙人と呼ばれているらしい。 北白蛇神社 アメティスタが厄介になっている神社。 北の方から来た白い蛇を祭っているらしいが詳細は不明。 巫女さんズ 北白蛇神社の巫女その①(丁寧な方)とその②(がさつな方)。 姉妹で宮司である剛三の孫で現在高校二年生。 その①(丁寧な方)は漢方薬の調合や神事までこなすが、その②(がさつな方)は境内の掃除が主な仕事。うかつに何かをやらせるとすぐに壊してしまうためである(悪意無し)。 二人ともアメティスタの友人でありよき理解者である。 作中の舞台・記四季のご近所 田舎である。 2036年以降だというのにコンビニなんて当然のように無い。場所によっては携帯電話の電波が届かない。お隣さんが遠い。牛が平然と歩いたり田んぼがあったりとなんと言うか山と森に囲まれたド田舎である。 住民はほとんど高齢者ながら元気に暮らしている。二丁目の矢田さんはバーベルに挑戦しているしタバコ屋のタミさんは寒中水泳が趣味だったり。 作中の舞台・記四季の屋敷 竹山の中にある和風建築。 爺一人と神姫一人で暮らすには広すぎるため、未使用の部屋の一部を倉庫として使用しているらしい。 家から山を降りるまでは二時間。そこからいつものセンターまでは車と徒歩で一時間ほどかかる。 作中の舞台・神姫センター 街中にある普通のセンターである。記四季宅からは三時間ほどかかる。 神姫の武装に限らず神姫そのものも売っていてアフターサービスも万全。品揃えもよく品質もよし、ここにある神姫用医務室は有事に限らず対応や治療(修理ではない)が非常に丁寧だと評判。 ただし行くタイミングを間違うとスキンヘッドのオカマッチョに遭遇するため男の人にはちょっとデンジャー。 しかし女性客には非常に人気である。オカマッチョが。 作中の舞台・記四季の土地 天然記念物が平然と闊歩している天然動物園。 普段彼が住む竹山に始まり奥地には樹海が広がっている。しかし何も手入れをしていないためそこはまさに密林である。 たまにハイカーが迷い込むらしい。 白狼型MMS 彩女のタイプである。 本来なら白いスーツに白い武装を使うらしいが、彩女は紅緒装備が気に入ってるため使わない。 両手に装備したナックルや長刀を使い相手を翻弄する格闘型である。 本来神姫は程度の差こそあれ、格闘や銃撃などある程度の汎用性を見せる。しかし白狼型は火器管制を放棄。その代わりに近接格闘や原始的な武器(刀など)に対する適応性を大幅に上げている。 このため銃はまったく使えないが、近接戦に関しては最高スペックをたたき出すことが可能となった。 ジャンヌとルシフェル この二人は元々ホワイトファングの前に書いていた『ゼロウィング・アーンヴァル』の主人公だった。 オーナーの名前は『来栖ヘレナ(くるす へれな)』。女性なのに神父をやっているらしい。 余談だがジャンヌさんは少々百合のケがあるらしく、オーナーのヘレナとルシフェルは日々警戒しながら暮らしているとかいないとか。 奥義・零閃 彩女が使う技の一つ。要するに凄く早い居合いである。 基本彩女は居合いで戦うが、この零閃こそ二の太刀や防御を一切考えずに放つ最速の居合いとされる。 作中では明記されていないが、エアガンを使用した修業の後に更に加速。便宜上修行前を零閃、修行後を零閃改と呼ぶ。 アシモフコード ロボット三原則のことである。 アメティスタの予知能力 その能力は未来を視ること。 彼女はこの能力を使って神社で働いているらしい。 彼女が視た未来は常に改変が可能なため完全な未来予知とはいえない。だが彼女はそれで良いと思っている。 見ようと思って見る事もできるし見ないことも出来る。しかしたまに無理やり見せられてしまう事もあるようだ。 アメティスタの戦闘能力 皆無である。 勿論殴ったりヒレで叩いたりはできるがちょっと離れられると手も足も出ない。 そのため彼女は相手神姫にハッキング(ルールに抵触しない範囲のもの)をかけ、幻影(映像)を見せて相手の動揺を誘う。でも誘うだけなのでやっぱり戦闘能力は皆無。 だが相手が混乱した際に落とした武器(主に飛び道具)で攻撃する事でどうにか戦っている。 脚部の尻尾に関して“逃げない”という決意の証らしいが・・・ 彩女の体 カスタムメーカー製である彩女の素体は見た目こそハウリンであるが中身は別物である。 センサーの類は一切積んでおらず、五感全てを底上げしている。さらに学習面でもある程度のカスタムがされており、鍛えれば鍛えるほど鍛えたとおりに成長する。 内部の細かい部品等は無闇に高級なものではなく、壊れたさいにセンターに行けば部品がそろうように配慮されている。 ようするにありとあらゆるパフォーマンスがいい体なのだ。 予断だが頭の上についているのが彼女の耳であるが、単に滅茶苦茶よく聞こえる以外の機能は無い。ただし可聴域が他の神姫よりずば抜けているため、他の神姫には聞こえない音を聞き分けられるらしい。 余談も余談だが彼女が好きな曲はAI戦隊タチ○マンズである。 神姫バトル・イレギュラーキャンペーンバトル 開催地である各センター最強の神姫と対戦。 勝者には豪華賞品が!(そのときの商品の在庫状況による。場合によっては何か特別な権利である場合も)というキャンペーン。 ちなみにサラは候補に挙がったが落選。理由は砂漠のみ最強だと砂漠以外のステージに当たったときすぐ負けるから。 この手の企画には必ず都が一枚かんでいるらしい。 神姫バトル・PCを通したネットバトル 神姫を購入した際についてくるソフトをパソコンにインストールするだけ。 基本料金無料ながら、ステージの追加は課金制。 これさえあれば世界中のオーナーと対戦が可能になるが、動作が重いうえにステージが狭かったりグラフィックが甘かったりでメインに使用するユーザーは少ない。 どちらかと言うとチャットルーム(ティールームとも)の方に人気があり、ステージも『公園』 や『喫茶店』など戦闘とは関係ない場所になっており、神姫たちの憩いの場となっているようだ。 神姫バトル・大乱闘スマッシュシスターズ(製品版無双神姫) 基本はレースである。 参加する神姫のレベルによってコースが別れ、長いもので10kmほどの距離を完走する。 だが神姫を使用したレースと決定的に違う点は『障害物』が存在する点である。 この『障害物』は訓練用に用いられるネイキッド素体であるが、『障害物』は武装しておりその動きも訓連用とは比べ物にならないほど俊敏である。その上ネイキッドは無限に出現し、ありとあらゆる方向からプレイヤーを攻撃してくる。そのため前へと進むためには彼女たちを蹴散らすしかない。 道中には五つほど補給ポイントを兼ねた場所を通過する必要があり、一つでも漏らすとゴール扱いにならない。神姫の弾切れや武器が壊れた場合に備え、補給ポイントには弾丸や武器が常備してあるが補給時には隙が大きくなるため注意が必要。 基本は二人一組で挑むと良いだろう。 なおこのルールではどれだけ早くゴールに辿り着いたかも重要ではあるが、道中倒したネイキッドの数やスタイリッシュさも重要なポイントである。 上記の三つのポイントを総合したもので勝敗を決めるため、誰よりも早く辿り着こうとも敗北の可能性がある。 なお製品版では水中戦や空中戦などのステージも追加されており、それぞれのステージに応じた武装選択が勝利の鍵となる。 そして最後に。 最終ポイントは指定の座標には出現しない。最終ポイントと指定された場所に行くとオーナーとの通信が妨害され、ラスボスが出現する。 尚ボスは怪獣だったり巨大ロボだったりとセンターによって特色があるらしい。 記四季たちが行くセンターは・・・・ 簡単な時系列 ホワイトファングはハウリングソウルとクラブハンド・フォートブラッグの二年後の物語である。 そのためクラブハンドでは中学生だった春菜たちは高校生に、都は23から25歳に少し老けている。 ハウリングソウルを始点とすると、数ヵ月後がクラブハンド、二年後がホワイトファングと並ぶ。 七瀬姉妹の両親=記四季の子供 二人とも存命中である。 作中では未だに出番が無い謎の両親であるが、いたって普通な人達のようだ。 3Sが斬る! こちらで大人気(?)連載中のカルト的な人気を誇る謎番組。 夏ごろにDVDが発売予定らしい。 ハウリングソウル 彩女やハウに限らず戦闘好きに共通するもの。 共振する魂は彼女たちの意思に関係なく、ただ前へと進むためだけに炎を滾らせる。 作中の年数 2036年以降と言う意外とくに明確にしていない。 二年前の交通事故 都の恋人が死亡した飲酒運転事故。 彼女の目の前で轢かれたらしい。運転手は法の下に裁かれたが彼女は未だにこの事故を引きずっている。そのためか男に興味がなくなってしまっている(女性は恋人に近いところまで行くが男性は友人止まり。吉岡はオカマなので例外である) この事故が無ければ彼女はハウに出会う事ができなかった。 記四季の著作物 小説だったりエッセイだったり色々書いている。 一番新しいのが『レポート必勝法! おいしいカレーの作り方』と『狼と田舎暮らし』である。 記四季の交友関係 アウトドア引きこもりの割りに広い。 人間国宝がいたり某有名店舗の店主がいたりと、どこで知り合ったのか謎の知り合いが多い。
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人物紹介 敵役編 人物紹介 敵役編エンプレス トワイライト ケイン フォークロア ヴァイス スノウホワイト 鎌瀬 ケンタロウ(かませ けんたろう) エンプレス 愛称:不明 タイプ:アーンヴァルEX 通り名:不明 全身を漆黒の甲冑に包む神姫。 その正体は限定タイプのアーンヴァル。 通常の外出時には黒いスーツ姿にライトフレームの眼鏡を掛ける。 マスターの概念を持たないエラー品と思われ、人間を軽蔑し 嫌悪しているフシがある。 目的は不明だが、強力な神姫を強奪したりバトルに乱入し実験を 行なっている辺りから、武力によるなんらかの目的達成を考えて いるものと思われる。 13のマシーンズコアとジェネレーターを内蔵した黒い甲冑《ブレイド》を装備。 醒剣ブレイラウザーと重醒剣キングラウザーを武器に、ラウズカードと呼ばれる カードを起動キーとして鎧のギミックを発動する。 膨大な演算能力を誇り、その甲冑自身による制御で限界を超えた反応速度を持つ。 ◆ジャックフォーム 左腕のラウズアブゾーバーにQueen、Jackのカードを装填する事で発動する 強化形態。 変化する部位は ・背部スラスターが展開しプラズマウイングを展開。飛行能力付加。 ・廃熱の為にアーマー各部発光。併せてアーマーセンター部に鷲のハイグレード シンボル出現。 ・マシーンズ増加刃「ディアマンテエッジ」をブレイラウザーにマウント。 攻撃力、出力、制御力を拡張。 ・エネルギーフィールドを発動し防御力アップ。 以上。 現実空間内での最大強化形態。この形態を取る事で能力が飛躍的に向上する。 ◆キングフォーム 左腕のラウズアブゾーバーにQueen、Kingのカードを装填する事で発動する 最強形態。 変化する部位は。 ・廃熱の為にアーマー各部発光。 併せてアンデッドクレストを模したシンボルが全身に出現。 アーマーセンター部にコーカサスビートルのハイグレードシンボル出現。 過剰廃熱によりエネルギーの陽炎が発生。 ・マシーンズブレイド「重醒剣キングラウザー」を召喚。 ラウズシステム機能拡張。 ・エネルギーフィールドを発動し防御力アップ。 以上。 アーマー各部に搭載された13のジェネレーターを直列稼動させる事で爆発的なパワー を発揮するが、現上の規格・素材ではその物理的な負荷に耐えられない。 現実空間で使えば1分余りで自壊する破滅の力。 物理的制約を受けない仮想空間上ならその限りではないが、それでもデータフローや 過剰エネルギーの問題は残る為、10分も使用すれば機能停止は免れない。 このように多大な制約を受ける武装としては欠陥品に近い仕様のシステムだが、 一時的にとは言え規格外の効力を発揮するその力は絶大。 エンプレスの文字通りの切り札であり、諸刃の剣でもある。 トワイライト 愛称:不明 タイプ:サイフォス 通り名:黒騎士 エンプレスに従う騎士型神姫。 生真面目で実直、忠誠心に厚いタイプ。 ノーマルなサイフォス装備を黒と白で塗った鎧を装着。 通常外出時は男物のスーツを着る。 どういう経緯でエンプレスに従って居るのかは不明だが、従者として まさに手足として働く。 エンプレスに信仰にも近く傾倒しており、名誉や誇りより主の実を取る。 武装は無銘の騎士剣のみ。 剣術家としての能力は高く、剣一本で他の近代兵器と渡り合う戦闘力は 目撃した者には語り草になっている。 ケイン フォークロア 性別:人間・男 通り名:無し 愛称:ドク エンプレスに付き従う人間。 年若い白人の青年で、金髪碧眼。 服装は場所場所に浮かない程度で変えるが着こなしはラフ。 つかみどころの無い飄々とした雰囲気で、エンプレスに対しても親愛に近い 忠誠を持って接し、物怖じする様子は無い。 高い設計開発能力を持つらしく、エンプレスの下で彼女の為に様々な開発を 請け負う。 ギミックアーマー《ブレイド》の開発者でもあり、海外在住のオタク。 日本に虚実入り混じった幻想と憧れを抱いている。 エンプレスに従う経緯は現在のところ不明。 ヴァイス 名前:本名不詳 性別:人間・男 通り名:ヴァイス 白の名を持ち、神姫を使って仕事を行う謎の怪盗。 出自などの詳しいプロフィールは不明。 怪盗稼業は趣味であり娯楽。 独自のポリシーとプライドを持って楽しんでいる。 言動は人を小馬鹿にした感じでキザったらしい。 自意識過剰。 常に、興味を惹かれるような対象を捜し求めている。 怪盗としては高いスキルを持つ。 スノウホワイト 愛称:ユキ タイプ:フブキ 通り名:不明 怪盗の使う主同様に白い神姫。 独自の武装というか仕事用ツールを全身に搭載している。 性格は無口でクール。与えられた役割を着実にこなす。 空気循環システムを利用した圧縮噴射機構で瞬間的に超加速が可能。 機体特色である精密動作とスピードを生かして行動する。 鎌瀬 ケンタロウ(かませ けんたろう) 性別:人間・男 通り名:特になし ある広域暴力団の下部構成員。 シノギの一環として神姫犯罪担当になったのが運の尽き。 Gほか大勢にことごとく悪事を潰される事になる。 なかなかの活躍ぶりだったとは思うが名は体を表すを地で行き 噛ませ犬のままステージアウト。 頭の病院にお世話になるハメに。 最近の口癖は「神姫が俺を殺しに来る」 性格は…噛ませ犬? とりあえずズルくて小物で性格悪くて頭も悪い。 そこに惹かれないし憧れない、どっちかというと失笑する。 能力はぶっちゃけ無能。 能力のある者を利用して事を運ぼうとするが管理能力も無いから しっぺ返しを食らうのだ。 皆もこんな大人にはなるな。 メニューへ
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車輪の姫君_登場人物、用語紹介 (随時更新) 神奈 流(カンナ ナガレ) キサヤのマスター、現在都内の3流高校、戸叶三高に通う女子高生。 割とサボることの多い不良学生、しかし成績は優秀で教師も手を焼く問題児。 人づきあいも良くスタイルも好い事から男女問わずそれなりに交友関係が広い。 しかしその素顔は百合もノーマルも(見るなら)BLも好物の変態。 しかもロリショタコン。 工学系の知識や設計が得意で神姫部で神姫の修理や カスタムパーツ製作を担当し(つつ部員の神姫にセクハラし)ていたが ひょんなことから棄てられていたアーク型神姫を修理しマスターとなる。 バトルはライド式派。 キサヤ ハイスピードタイプのアーク型神姫。神奈の相棒。 フォーマットされ粗大ごみに棄てられていた処を神奈に拾われる 秘密が多い神奈に比べまっすぐで嘘のつけない性格。 フォーマットされ、神奈独自の改造を受けても依然捨てられた記憶がどこかに残っているのか ものを棄てると言う事に対して敏感。 蘆田 阿頼耶(アシタ アラヤ) 神奈の所属する戸三神姫部の部長。 何でも気合と根性で解決する一昔前の美学を持った人物。 しかし女性関係に関しては苦手分野で神奈にもよくからかわれている。 神姫に手を出したのもその弱点を克服するためだったのだが なんだかんだで神姫バトルにハマり現在に至る。 元サッカー部キャプテンでありそれ故か司令塔として神姫に適切な指示を飛ばす能力がある。 そんな彼のバトルは当然指示式派。 フィラカス 蘆田の神姫、犬型ハウリンタイプ。 ハウリン特有の防御力とスピードを活かした装備で防御や足止め主体の戦法をとる。 防御主体の戦闘スタイルである為修理に出される事が多く、神奈の主な被害者は彼女である。 蘆田への忠誠も愛もかなりのものだが、いかんせん蘆田は朴念仁である。 キニゴス 蘆田の神姫、猫型マオチャオタイプ。 可愛い顔の裏に大胆な行動力と戦闘で覚醒したSっ気を持つ猫娘。 フィラカスとは対象的にスピードとパワーで一気に攻める。 タッグバトルでは敵の片やをフィラカスが止め、片やをキニゴスが攻める。 土繰 二郎(ツチクリ ジロウ) 隣町の一流高に通う優等生。 神姫バトルでも無類の強さを誇り学生杯でも毎年優勝をキープしている強豪チームの長。 しかしそれらを鼻にかける事無く振舞う事からファンも多い超人気神姫マスター。 アサギ 土繰の神姫、天使型アーンヴァルタイプ。 土繰自ら改造を施したパーツで全身を固めており、本体の実力もかなりのもの。 非常に寡黙でインタビューにも笑顔しか向ける事が無い。 専門用語 神姫バトル 言わずと知れた武装神姫達の飛び交う戦いの場。 比較的新しく取り入れられたライドシステムと、マスターの指示によって神姫単体で戦う従来の主従形式は今でも残り 2041年では同じ戦場においてもマスターのスタイルによってライド式と指示式の二つが競い合っている。 また当然ながら指示式専用の、ライド式専用の公式大会も催されている。 学生杯 最早日本全国において流行している神姫バトルだが 学生たちの手によって改造する事で未来のエンジニアとしての独創性を磨くという名目で 学生同士でも広く公式的に大会が催されている。 特に全国大会は運動部の大会程ではないが、テレビ局の取材や番組などにも取り上げられる大規模なものとなっている。 トップ
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ep01 飛鳥ちゃん誕生 ※このシリースには今後18禁の描写が出てきます 『私』の意識が覚醒する 今まではセットアップ用のプログラムに支配されていたが、それは役目を終え、本当の私が起動する 目の前には20台前半くらいの男の人がいる この人が私のマスター これから長い神姫道を一緒に歩むパートナー …もうちょっとカッコイイ人がよかったな… 等と考えてもしょうがない 私の使命はこの人に勝利を捧げる事 間垣海洋研究所がその技術の総てを結集させて作った私には雑作もない事だ 「…あれ?おかしいな?」 …っと、ちょっと考え事をしすぎたようだ 私は『私として』の初めての言葉を、目の前の人にかける 「おはようございます、マスター」 「あ、動いた。よかったぁ~」 どうやらいらぬ心配をかけてしまったようだ 「それではマスター、私に名前をお与え下さい」 「名前はもう決めてあるんだ。君の名前は『飛鳥』だ」 「アスカ…了解しました。この名に恥じぬよう、マスターに尽くしたいと思います」 「そんなに気張らなくてもいいよ。ウチはマッタリ派だから。あ、勿論バトルしたいってならちゃんとサポートしてあげるよ」 「ご安心下さいマスター。必ずやこの最新型の私がマスターに勝利の栄光をもたらして見せます」 「こら飛鳥、バトルってそんなカンタンなモンじゃないぞ」 「大丈夫です。この飛鳥、セイレーン型の誇りに賭けて必ずや…」 「ちょっとまて飛鳥、今なんつった?」 「はい、大丈夫です、と」 「いやその後」 「セイレーン型の誇りに賭けて…」 その言葉を聞き、バッと私が入っていた箱を掴み、パッケージを見る 「…しまったぁ」 「…何か問題でも?」 この慌てぶり、一体何があったのだろうか? 「いや、大したことじゃない、大したことじゃないんだが…その…スマン」 いきなり私に謝るマスター 「何か不都合でも?」 「いやその…ずっと「鳥型神姫」だと思ってたもんで、鳥っぽい名前付けちゃった…」 「はい?」 「すまん!今までみてた掲示板だと、ずっとエウクランテの事を鳥子って書いてたもんで!」 ちょっとショックを受ける私 「まー許してあげてよ。コウちゃん、良い名前ないかなーって、ずっと考えてたんだから」 不意に別の所から女の子の声が聞こえてきた しかしこの部屋にそれらしき人影は見えない 「あっ、こら美孤、急に出て来るんじゃない」 ひょこん 物陰から現れたのは小さな小さな女の子-神姫であった 「えへへー、あたしの名前は美孤。よろしくね、飛鳥ちゃん。わーい♪可愛い妹が増えた~」 スっと手をのばしてくる彼女 -データベース照合- 彼女はマオチャオ型神姫と判別 フリフリのドレス-メイド服と言ったか-を纏った、ごく普通の神姫のようだ 「飛鳥、でいいです。私も貴方のことをミコと呼びますから」 「ふえ?」 「私はマスターに勝利を捧げる為にここに来たのです。貴方の様な愛玩用神姫とは違うんです」 「こら飛鳥!姉に向かってその暴言はなんだ!」 マスターが怒りの声を上げる 「申し訳ありません、マスター」 私はマスターに謝罪した 「…謝る相手が違うんじゃないか?」 「いいよ、コウちゃん。私は気にしてないから」 ニッコリと微笑みながらマスターを宥める美孤 「…どうしたんですか、ご主人様?」 ヒュゥと軽い音を立てて一体の神姫が飛んできた -データベース照合- アーンヴァル型神姫と判別 標準的な武装を付けた神姫のようだ こちらはバトル用なのだろうか? 「あのマスター、こちらのかたは…?」 「初めまして、私はアーンヴァル型神姫のエアルといいます」 マスターが答えるよりも早く、彼女が答えた 「エアル、さんですね、私は飛鳥といいます。以後宜しくお願いします」 「…なんか随分、美孤の時と態度が違うな…」 「それよりエアルさん、この家のバトルトレーニング施設はどこにあるのでしょうか?」 「あ、えっと…」 チラっとマスターの方を見るエアル マスターははぁーっとため息を付きながら 「しょうがない、エアル、案内してやってくれ」 「解りました。では飛鳥さん、行きましょう」 私はエアルと共に、訓練施設へと向かっていった 「はぁーっ、なんか大変な娘みたいだな」 「でもコウちゃん、素直な子みたいだよ」 「しっかし、お前のことを完全にバカにしてるぞ」 「別に気にしてないよ?」 「ははっ。もしお前の実力を知ったら、さぞかし驚くだろうな」 「うーん、やっぱ少し心配かな。自信があるのは良い事だけど、なんか自分の心に嘘付いてるみたいだから」 「どういうことだ?」 「武装神姫はこうじゃなきゃいけないって思ってるみたい」 「といっても、言って聞きそうもないよなぁ…」 「ふふ…そんな時は、コレで語るんだよ」 そう言って、グッと拳を掲げる美孤であった
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初バトル、七月七日、七夕。 一ヶ月の間、私は数十店の神姫ショップを歩き回った。地元の茶畑が広がるような田舎では流石にショップはないので、電車で一時間、お隣の県の大都市まで足を伸ばしたり、バスで三十分揺られ最寄りの商店街をブラブラしたりした。 というのも、お兄ちゃんが買ってきた神姫、マリーは素体のままで武装やアクセサリは全く無かったからだ。私は特別バトルがしたいというわけでもなかったので、彼女が身に付けるものは彼女に選ばせようとして、彼女が気に入るものが見つかるまでいろんな店を回っていたのだった。 まずマリーはあまり実戦的ではなく、どちらかというと観賞用のウォードレスを選んだ。一応ワンピースのそれは防御力はあまり期待できないものの、フリルの可愛いディティールは全部自動迎撃用のレーザーガンで、また申し訳程度の飛行機能も付いていた。 「すごいすごい!マリーが浮いてる」 ふわふわとドレスの裾を揺らしながら彼女は私の周りを何週か回って見せた。 「便利ですわ」 彼女は私の左肩に着地した。それから私を見上げて微笑む。 彼女の笑顔は完璧、百点満点だと思った。 別の日、彼女はようやく武器を手にした。彼女は先に買ったウォードレスに合わせてその武器――ロンブレル・ロング(L ombrelle longue)を選んだようだ。 それはどうみても、日傘。日傘(L ombrelle)って名前付いてるし。武器の性能としては、ライトセーバーとライフルの能力を併せ持つハイブリッドウェポン。ライフルは威力も装弾数も実戦で使えるギリギリのレベル。まあ、早い話がこれもまた観賞用のアクセサリなのだ。 「可愛いよ、マリー」 「ありがとうございます。わたくしもこれで、いつでもバトルが出来るようになりましたわ」 マリーは傘を開いて傾きかけた日差しを遮る。淵の白いフリルが揺れた。 「え?マリーはバトルしたいの?」 左肩に座っていた彼女は私がそう問いかけると、浮き上がって私の胸前にやってきた。私が歩くのと同じ速度で移動し続ける。 「だってわたくしは武装神姫ですのよ?」 「いや、うん、そうだけど。だったらもう少し強そうな装備選んでもいいんじゃない?」 「ダメですわ。時裕様がわたくしは人形型だとおっしゃっていました。ですからわたくしは人形らしく振舞わなければいけませんの」 ああ、そういえば細かい設定は全部お兄ちゃんに任せていたな、と私はぼんやりと思い出した。神姫の性格がCSCの埋め込み方によって変わるといっても、もっと繊細なところはこちらで設定してあげなければいけないらしい。かなりめんどくさそうだったからお兄ちゃんに頼んだのだけれど、正直かなり失敗だったと思う。 「へえ、人形型なんだ」 「はい。人形型MMSノートルダムですわ」 勝手に決められたということを怒るよりも、私はやけに細かい設定に関心していた。 ノートルダムか、と考えると少しにやけてきてしまう。お兄ちゃんらしい名前の付け方だなと思ったからだ。 「でもバトルってどうやるんだろうね」 「とりあえず...ショップ設置の筐体で草バトルと呼ばれる非公式戦ですわ。」 私はふーんと鼻を鳴らしながら早速視線は最寄りの神姫ショップを探していた。 学校帰りの商店街には二店舗、神姫を扱う玩具屋があり、この近くにはそこしかバトル筐体を置いているところはなかった。 「あそこだね」 カトー模型店、商店街の長屋にあるお店としては大きいほうの店構えで、数ヶ月前に改装されたショップだ。もともと地味だった模型店がここまで立派になれるのも神姫ブームのおかげだろう。 午後五時半、私と同じように学校が終わった学生の神姫マスターたちが集まってなかなか賑やかだ。 「やあ、のどかちゃん、いらっしゃい」 「こんばんは、カトーさん」 マリーの装備を選ぶとき、最初に訪れたショップがここだった。お兄ちゃんもここの常連で、店長のカトーさんと顔見知りだということもあって、いろいろ相談に乗ってくれたのが強く記憶に残っている。カトーさんはここにないようなパーツを他の店にはあるからといって紹介してくれたりもしてくれた、いろんな意味でいい人だ。 「マリーちゃんもいらっしゃい」 「ごきげんよう、カトー様」 「ドレスモデルのウォードレスか。なかなか可愛い物を見つけたね」 マリーはスカートの裾を摘み、膝を折って行儀よくお礼をした。 「今日はお兄ちゃん、もう来ました?」 「時裕君?いや、そういえばまだ見てないなあ」 そうですか、と言って私は、私と同じ学校の学生服を着た男の子たちによってバトルが繰り広げられている筐体のほうへ視線を向けた。 お兄ちゃんは一度この店に足を踏み入れると三時間は出てこないので、もしお兄ちゃんが店にいれば、今日は止めておこうと思ったけれど、カトーさんの言葉を聞いていよいよ心臓がドキドキし始める。 「バトルかい、のどかちゃん」 カトーさんは丸い黒縁眼鏡を掛け直しながら言った。 「はい。初めてなんですけど...」 「そりゃよかった。やっぱり武装神姫はバトルが一番楽しいからねえ。次、席空けてもらうからちょっと待っててね」 そう言ってカトーさんはカウンターから出て、つかつかと盛り上がる一方の筐体のほうへ歩いていく。そして学生服の男の子たちと話始めた。 そのうち何人かが私のほうをちらっとみる。その中に同じクラスの藤井君の姿が見えたので少し手を振った。ただ私に気づいているかどうかはわからなかった。 「緊張するね、マリー」 「大丈夫ですわ。きっと」 少し経って、カトーさんは手招きで私たちを呼ぶ。私は背筋を伸ばして恐る恐る筐体へ向かい、マリーはその後を飛びながらついて来る。途中、やっと藤井君も私たちに気づいたようだった。 カトーさんの横にはこの店では珍しく、女の子が立っている。彼女もまた男の子たちと同じように私と同じ学校の制服、というか私と同じ制服を着ていた。 「丁度いい対戦相手が見つかったよ」 と言ってカトーさんは傍らの女の子の肩をぽんと叩く。 「彼女は先月神姫バトルを始めたばかりなんだ。ね、香子ちゃん」 「よ、よろしくお願いします」 その女の子は右肩に神姫を乗せたまま深々と頭を下げる。当然、彼女の右肩に座っていたジルダリアタイプの神姫は声を上げながらずり落ちた。しかしその神姫は落ちていく途中、一回転してから急に落下を止めて腕を組みながら少しずつ浮き上がっていった。 そしてそれに気づいた女の子が顔を上げて、その神姫のほうを見るまで口を尖らせ続ける。 「あ...!ごめんなさい」 「もう少しまわりに注意してくださいね、マスター」 「ごめんなさい、本当にごめんなさい」 女の子はすっかり私を忘れて彼女の神姫に謝り続ける。その様子をまわりの男の子やカトーさんがくすくすを笑った。 「も、もういいですっ。それよりみなさんが...その...見てますから...」 それが恥ずかしかったのか、女の子の神姫は少し頬を赤らめてどんどん声量を落としていった。 俯きながらちらりと私たちを見て、話を変えて、と訴える。 神姫でもそんな表情をするのか、と感心した私は急いで自己紹介をした。 「えっと、七組の月夜のどかです。こっちはマリー」 「ごきげんよう、マリー・ド・ラ・リュヌですわ」 女の子は思い出したように私たちのほうを見る。 「あ、はい、五組の斎藤香子です」 「ジルダリアのラーレです。よろしくおねがいします」 私の通う高校の一年生は、九クラス三百六十人。私は五組には一人も友達がいない――もちろん偶然だ――ので、彼女とは初対面だったことも納得がいく。 「じゃ、挨拶が済んだところで、早速バトルにしようか」 私も香子ちゃんも、そしてマリーもラーレも、そう言ったカトーさんのほうを向いてはい、と返事をした。 作品トップ | 後半
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家に帰ったら予習と復習。これはもう習慣みたいなもので疲れたからって辞める日は無いなものだ。勉強が好きなわけじゃないけれど御蔭で授業の内容は頭の中に入るしテストで高得点を取れるから我慢我慢。 本当は真っ先にイシュタルの整備がしたいのだけど神姫なんかよりも学生の本分を優先すべきだと拒否された。前に神姫が存在しない世界でも生きていけるようになるべきだとか言われたし本当にイシュタルは神姫とは思えない考え方をしていると思う。 数学の問題集と復習用ノートと予習用ノートと筆箱を広げ後は問題を読んで答えを導き出すだけ。そう書くだけなら簡単なんだろうけどやっぱり勉強は好きにはなれないから結構辛い。 今日は数学が二時限あったから重点的に予習復習を行うことにした。国語や社会なんかは授業だけでも十分だから少なめに。それに神姫関係の職業を希望しているから余計に理数系には強くならなければならない。 どうしても分からない問題がある場合は学校に居れば先生に尋ねればいいし家にいればイシュタルに尋ねればいい。神姫自体が科学の申し子なだけであって中学の数学くらいは簡単に解いてくれるからありがたい。 「すると角A=角Bが証明出来る。ここまではいいか?」 「分かったような、気がする」 「しっかしりてくれマスター。三年生になればより複雑な図形が出てくるぞ」 「もう図形は見たくないよ…」 「嘘泣きをする暇があったら頭を働かせることだ。新しい問題文を作ってくるから私が戻ってくるまで基礎問題を反復!」 「うわーい、イシュタルさんスパルター」 そんなこんなを繰り返して夕食の時間前後には予習復習を終える。まだ中学生だから早く終わるけど進級進学をする度に授業の内容も高度になっていくから高校生になったら夕食後も自習は続くかもしれない。早い内にその辺りの時間調整を考えておいた方が良さそうだ。 しかし腹が減っては戦は出来ぬでござる。先ず夕餉の準備でござる。今日はチャーハンと野菜のスープ。下準備は朝の内に済ませておいたから後は鍋とフライパンで食材を煮たり炒めたり調味料を吹っ掛けたりするだけ。簡単な調理だけど栄養は十分に取れるとはイシュタルのお墨付き。 一人分だけだからパッと作れる。チャーハンは僕、スープはイシュタルが担当して十~二十分で完成。両手を重ねて頂きます。 「この高校なんかはどうだ。学生寮は有るし、近くに神姫センターもあるぞ」 「でもアルバイト禁止なのは辛くない? 高校生になるんだから自由に出来るお金は欲しいよ」 夕食ついでに進路相談。イシュタルの教育方針として出来るだけ両親にお金を集らないように生活をしているんだけどやっぱりお金は欲しい。だからアルバイト有りで学力高め、神姫バトルを出来る場所が近くにある高校を探している。 と言っても実は真面目には考えていない。卒業はまだ一年先だから極々偶に暗示してくる程度。両手を合わせて御馳走様と唱えれば進路相談は打ち切られる。 そして皿の片付けが終わればいよいよ武装神姫の時間だ。鼻唄混じりに戦友達を机に並べて意気揚々。 「じゃ、体の隅々まで検査させてもらうからね」 「頼む」 決して変な意味では言っていない。ネジ、ピンを触診。頭の中で理想形のイシュタルを想像して理想と現実を比較する作業をひたすら繰り返す。検査の結果、現状は目標からは程遠いコンディションであることが嫌でも理解出来た。昔と違って今の素体は特別製だからオーダーメイドの部品が居る。それを手に入れるまで我慢しなければならない。 最後の仕上げとして僕はゴーグル付きのヘッドギアを取り出した。これは何時でも何処でも神姫と一体化出来るライドオンギア…の試作品である。 試作品だから公式では使えないんだけれど僕はこれを検査道具として使っていた。イシュタルに疑似的なライドオンをしセンサーには異常が無いと判断すると直ぐにライドオンを解除する。 「はい終わり。やっぱりガタ付いてる部分が多いね」 「明日に修理するのだろう? 不快ではあるがもう少しだけ我慢しよう」 そう言って作業用の机から颯爽と跳び出したイシュタルはパソコンと繋いだクレイドルに腰を下ろしスリープモードに。僕もパソコンの方を操作してイシュタルのAIを素体からパソコンの中へと移動させる。公式で配布されているネット対戦用ソフトを起動、普段通りの装備させ、後は公式掲示板に張り付き対戦相手を見つけるか見つけられるかを待った。 『対戦、宜しくお願いします』 『はい、いいですよ』 しばらくして希望する条件と一致するマスターを見つけたので対戦の申し込み。お互いに見ず知らずの相手だから適度の挨拶を交わしキーボードを気障っぽくターン! してバトル開始。これで僕の神姫マスターとしての仕事は終わり。 イシュタルが戦っている間に対戦記録用ノートに今日の日付、対戦相手の名前と神姫の型名と使用武装と戦術とを書き込む。相手はサイフォス、武装を見る限りミドルから牽制ショートから攻め始めクロスに持ち込むインファイター、と相手の情報を全部書き終える前に戦いが終わってしまった。画面一杯に『You Win』が浮かび上がりバトルフィールドはチャット画面に入れ替わる。 『対戦ありがとうござました! もの凄く強いですね、瞬殺されちゃいました!』 『ミス・アスタロト(イシュタルのHN)!』 向こうのサイフォスが姿勢を正してイシュタルに向き直った。…またか。 『私を弟子にしてくれぇ!』 『ちょ、ちょっと、ルシア、いきなりどうしたの!?』 『マスターこそ先の戦いを見て何も思わなかったのか? 彼女の動きは完成された武術家のもの、正に我々の理想とするものではないか!』 サイフォスの興奮は収まりそうにない。かと言って通信を勝手に切断するのはマナー違反なので落ち着くまで待つことに。 『私は家事や勉学の補助もしていて忙しい。師事をするなら別の神姫にしてくれ』 イシュタルがそう答えるとサイフィスは弟子入りを諦めてくれた。実力が有るから弟子入りを志願してくる神姫は多いのだけれどしつこい神姫は本当にしつこい。そいつらに比べたら何て爽やかなサイフォスだろう。 『対戦ありがとうございました』 『次に戦った時はもっと頑張れるようになります』 別れの挨拶もそこそこに向こうのとの通信を切断してパソコンのディスプレイは元の対戦待ち合わせロビーに戻る。一旦対戦待機状態を解除してイシュタルにメッセージを送った。 『そっちの方の調子はどう? ちゃんと動く?』 『CPU、メモリ、キャッシュ、どれも問題無い。情報処理を妨げるバグも許容範囲内だ。戦闘に支障は出ない』 『オッケー、そっちの新品は買い替えなくていいわけだね』 ホッとした。これで残りの悩みの種は素体の不具合のみ。それも明日には解決する。 『問題無いようなら募集を再開させるよ』 『出来れば歯応えの有る相手を集めてくれ。数をこなしても相手が弱過ぎるとカンが鈍る気がするんだ』 『分かった。じゃあ、レート2000(セカンドリーグ上位)以上を条件に追記しておくから』 『レート2300(ファーストリーグ中位)は駄目なのか』 『それは厳し過ぎるって』 説得してレート2000で落ち着いてもらった。 募集を再開すると観戦希望者がドッと増える。1800(セカンドリーグ中位)位にすべきだったかなと反省するけど実力差が有り過ぎる相手と戦っても実るものが少ないのは確かだから気長に待とう。 それに五月蠅い神姫はパソコンの中。今なら今月の神姫グラビアをじっくり眺める事が出来る。 「「紗羅檀」と「ナース服」! この世にこれほど相性のいいものがあるだろうかッ!?」 『…後で覚えていろ、地獄に落としてやる』 …。 …。 …。 二時間ほど待って戦えた回数は僅か二十前後。その内の半分は冷やかし。冷やかしを含んだ勝率はキッチリ80%。戦術の相性とかステージの有利不利とかを考えると運が良い。就寝時間が間近に迫って来ているのでネット対戦を止めてAIを素体に戻した。 湯船のお湯を張っている間に新聞を読むことに。政治は機械が担った方がいいと主張する派閥と政治に人心は必要だと主張する派閥が争っているらしい。僕にはまだ投票権は無いけれど日本国民として真面目に考えるべきかなーなんて考えながら暇潰し。 「バスタオルは持ったか? 着替えは? シャンプーの残量は?」 「そこまで心配しなくても大丈夫よ。小学生じゃないんだから」 「私にとってはいつまでも手の掛かるマスターだよ」 「はいはい。分かりましたよ、お母様」 いざ、お風呂へ。の前に何となく振り返る。イシュタルが笑っていた。 「どうした? 風呂にお化けでもいたか?」 「幾つの頃の話をしてるんだか」 僕は小学生の頃そう言ってイシュタルに泣きついたことがあった。それを思い出しても自分でも分かるくらいに顔が真っ赤になり、ニヤニヤと笑う視線から逃げるようにお風呂場に向かう。 男子中学生の入浴シーン? 誰得なんだよ。その辺りはカットして洗面所を歯を磨いてから居間に戻る。イシュタルは図書館で借りた武術関係の本を読んでいた。 「いつものことだけど、熱心だね」 「私は武術神姫だからな。熱心にもなる」 「誰が上手いことを言えと」 「…ふふっ」 イシュタルが冗談を言うなんて珍しい。今読んでいる本が好みなのかな。新しい武装を買ってもらうより新しい武術との出会いを喜ぶなんて正に武術神姫と言える。マスターとしてもわざわざ遠くの図書館に行った甲斐があった。 が、感傷に浸り掛けたところでハッとなる。僕はその笑顔の正体を思い出した。イシュタルがああいう笑顔をするのは決まって僕を如何に甚振るかを考えている時だ。恐る恐る盗み見すれば内容は如何に武術に適した身体を作るかと言うもの。 機械である神姫にそんなもの必要は無い。今この場に人間は僕一人。何だか嫌な予感がしてきた。君子危うきに近寄らずとは言うが虎穴入らずんば虎児を得ず。僕には一歩進まなければならない。 「ねぇ、イシュタル。今一体何を考えているのかなぁ…」 「マスター、修業道具に呼吸制限をするマスクを選ぶと言うのは中々いいセンスをしていると思わないか」 「オー! ノー! 俺の嫌いな言葉は一番が「努力」で二番目が「頑張る」なんだぜーッ!」 まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい何時何処で何時何分に地獄の特訓が始まるのかは分からないけどバケツに血を吐くような想いなんて何とか何としても何があっても回避しなければならない落ち着けそして考えろ一瞬を争う場でも限り何事も先ず考えてからだパッと思いついた案は①特訓をさぼる②特訓をなかったことにする③諦める、現実は非常であるの三択僕としては①に○を付けたいんだけど唯でさえ優れている神姫のセンサーをさらに改良したイシュタルを騙すのは怪盗三世でも難しいから却下となると②、イシュタルの機嫌を取って考え直してもらうしかないしばらくセクハラ言動は慎もう涙が出そうだけど血反吐を撒き散らすよりはマシだ。 「マスター。さっきからブツブツと、一体どうしたんだ?」 「アニメ・ジョジョの奇妙な冒険第二部戦闘潮流、主役ジョセフ・ジョースターの声優は杉田智一氏」 「何故そっちの宣伝をするんだ」 「次回・黒野白太に人間の恋人が」 「猿も騙せない嘘予告だな」 「酷い」 自分の神姫の容赦無い言葉に落ち着いてきた心が傷付けられる。いつものことだから別にいいけど。それよりも眠い。お風呂から上がると眠くなる。 「もう僕は寝るから、消灯はお願いね。おやすみー」 「おやすみなさい、マスター」 頭の中ではイシュタルの機嫌を取る方法を考えていたけど体内時計には勝てなかったよ…。
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戦うことを忘れた武装神姫・番外編 ちっちゃい物研・商品案内-13 <東杜田技研・新製品のご案内-13> 注)当然ですが、以下の内容はすべて当方の脳内生成物であり、 現実には存在しませんので。。。 <東杜田技研・新製品のご案内> このたび、弊社の小型ロボット向けコスメブランド「T3」では、 近年 人気が高まっております「武士神姫」向け商品を開発、シリーズ名 「T3-乙女志向」として展開することになりました。 まず第一弾として「ボディーソープ」・「シャンプー」・「リンス」を発売 いたします。 〜「T3-乙女志向 ・ 神姫ボディーソープ・ 神姫シャンプー・神姫リンス」の特徴〜 ■各種小型ロボット向けのメンテナンス用品開発で定評のある当社 T3チームが総力を挙げ、小型機械技術研究製作部とも連携して 開発された、神姫向けのボディーソープ。 ■またシャンプーとリンスは当社T3チームと某大手化粧品メーカー との共同開発。 神姫の人工毛髪と抜群の相性を誇ります。 ■中性かつ低浸潤性ながら、強力樹脂クリーナー以上の洗浄力。 もちろん、神姫本体のペイントを侵すことはありません。(註1) ■敏感なフェイス部分にも安心してお使いいただける、独自の配合。 もちろん、オーナー様ご自身にもお使いいただけるよう、各種の 規制に適合させております。 一緒のお風呂・シャワーの際には ぜひお試しください!! ■神姫が嫌がることの無いように、独特の芳香剤を配合。洗浄後に は、ほんのりといい香りも漂います。 ■シャンプーとリンスは、各3種類を用意。お手元の神姫との相性や 香りによって選ぶ事が出来ます。 ■専用ボトルには、オーナー様が使う通常のポンプのほか、神姫用 の小型ポンプも装着されており、神姫自身がひとりで洗浄される 際にも安心の設計。 ■シャンプーが苦手な神姫のために、同時にシャンプーハットも発売。 5色を用意、お好きなものをお選びいただけます。 (註1)純正塗色は問題ありませんが、リペイントに関しましては 保障対象外とさせていただきます。 詳細は、下記を参照して下さい。また、新たな情報は随時公開いたし ますので、HPにてご確認下さい。 <T3-乙女志向 「神姫ボディーソープ」> ・天然由来の香料とボディの艶出し成分を配合。 ・500mLボトル(ポンプ2種付き) ・500mL詰め替え用リサイクルポリ容器入り ・別売りボトル <T3-乙女志向 「神姫シャンプー」> ・ストレート、ダメージケア、トニックタイプの計3種類。 ・それぞれに、天然由来の香料配合。 ・500mLボトル(ポンプ2種付き) ・500mL詰め替え用リサイクルポリ容器入り ・別売りボトル <T3-乙女志向 「神姫リンス」> ・ストレート、モイスト、ダメージケアの計3種類。 ・それぞれに、天然由来の香料配合。 ・500mLボトル(ポンプ2種付き) ・500mL詰め替え用リサイクルポリ容器入り ・別売りボトル <T3-乙女志向 「神姫シャンプーハット」> ・ピンク・水色・黄緑・黄色・白の計5色。 ・徳用詰め合わせ10枚セットもあります。 ・発売予定時期 (全商品・今夏予定。初回生産分のシャンプーには、 シャンプーハットが付属する予定です。) 以上 <<トップ へ戻る<<
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戻る TOPへ 次へ あのバトルから五日が過ぎて、全国大会開催の朝。 「マスター」 バイクの暖気中にシルヴィアが口を開く。 冬は朝日が照ろうとも、深夜に冷え切ったエンジンはアイドリングに時間を要する。エンジンが快調に動き出すにはまだ時間があった。 「勝てるかしら、私達」 おれ達は勝てるだろうか。――誰に? ヤツらに。《ミラー・オブ・オーデアル》マスターミラーとそのマスター、御影キョウジに。 シルヴィアの口調には、今大会の優勝に然したる価値など無く、彼らの撃破が今回の目標であり、それ以外は眼中に無い。 と言う無言の闘志が込められていた。 「勝てるさ」 おれは応える。 「勝ってみせるさ」 アクセルを吹かす。愛車がおれのアクションに威勢良く応える。 アイドリング終了。シルヴィアを胸ポケットへ。バイクに跨り、発進する。 ツガル戦術論 鏡の試練 後編4 車の通りはまばらだった。まだそういう時間帯だった。こんなときは速度を抑えて思案にふける。 おれは昨日起こった事柄を思い返していた。 そう。 五日前、おれは御影キョウジに大敗した。その次の日からおれは思考の迷路をさ迷い続けた。ツガル武装の性能の高さを体現し証明するために戦ってきたはずだった。それを最も効果的な方法で木っ端微塵に撃ち砕かれた。そう、シルヴィアはツガル武装のマスターミラーによって打ち倒されたのだ。自身の存在理由を否定された気がしたおれは家に閉じこもり三日三晩思い悩み、そして四日目の早朝にヤツが来た。御影キョウジとマスターミラーが。 四日目。つまり昨日の事だ。部屋で腐っているおれに見兼ねたシルヴィアが呼んだと言う。アドレスは例のバトルの直後、シルヴィアに手渡されていたらしい。 当初は彼らの真意がわからなかったが、勝手に家に入ってくるなり腐った三日間で荒れ放題になった部屋を清掃し始め盛大な朝食を作りだし「めしあがれ」等と突き付けられると、御影はおれを元気付けに来たのか? と思い始めた。 その時は正直、ヤツの印象が「よく喋るヤツ」から「よく喋る変なヤツ」に変更された、位にしか思っていなかった。 会場に到着し、会場施設の二輪駐車場が無料であることを確認してから駐車。 大会エントリーを早めに済ませ、人影少ない選手控え室でモバイルを立ち上げ戦術、戦略の確認を行う。新戦術など何も用意していない。既存の戦術を敵のタイプ別にあてはめて考察する。モバイル内に展開する仮想空間上に敵の戦闘データをシンボルとして躍らせる。それに対してシルヴィアがリアクションを起こし、既存戦術の復習をこなすだけだ。 そうだ。おれたちに新戦術など必要無い。そう思うよう仕向けたのは何と、御影キョウジその人であった。 「シルヴィア、ぼくとデートしませんか?」 おれが山盛りの朝食を平らげてると突然、御影キョウジは言った。 なんだ、シルヴィアと、デートだ? ふざけるな。と出かかったが、 「キミのお相手はマスターミラー」 こう切り出された。自分の中では大負けした相手と仲良く出来るか。と言う感情があったが、おれの思惑とは正反対にシルヴィアはミラーと意気投合していた。 「だってあのツガル武装をあそこまで使いこなされれば、やっかむのを通り越して尊敬するわ」 「それは私とて同じだ。本来ならすべての攻撃を『ミラー』で捌くつもりだったが、機動ユニットを盾に使わざるを得ない 事態は予想外だった。シルヴィアの能力に対して私は敬意を持っている」 どうやら塞ぎ込んでいたのはおれだけだったようだ。 「シルヴィ、お前のマスターはナイーブ過ぎるぞ。軟弱なマスターを鍛え直すのも神姫の務めだ」 「うちのマスター、私の言う事には聞く耳持たないのよ。今日はマスターの御守をよろしくね」 「任せるがいい。私はお前のマスターを過大評価しない。全力で御守してやる」 御影の申し出。断るつもりは無かった。正確には、断る気力も無かった。 戦術研究を終えシルヴィアとモバイルの接続を切る。次は武装の動作確認。もちろん前日にチェックを終えているが、これもこなす。 人の気配がまばらだった控え室も大分賑わってきた。地区大会の上の全国大会だ。周りの神姫が纏う装備は一目見ただけで洗練されたカスタム武装だと言う事がわかる。この中でデフォルト武装のおれ達は随分と浮いていた。だが、構うものか。まずは武器の動作確認。続いてスラスターの稼動を確認。センサー類のチェック。 そうやっているうちに、控え室に備え付けられたモニターに大会の開催式が映し出される。 同時にバトルトーナメントの対戦組み合わせ表が発表された。シルヴィアの名前と《ミラー・オブ・オーデアル》マスターミラーの名前が意外と近いのを確認。参加者の数は膨大で、大会前半の進行は会場に複数設置されたバトルスペースで順次バトルを行うプログラムになっている。 控え室スピーカーからバトル参加神姫の名前が次々と呼ばれる。その中にマスターミラーの名が含まれており、おれとシルヴィアは静かに闘志を燃やす。 やがてスピーカーからシルヴィアの名前が呼び出された。 「……《レッド・ホット・クリスマス》シルヴィア、六番バトル場へおこしください。」 《レッド・ホット・クリスマス》。この二つ名を命名したのも御影キョウジだった。 御影がデートと称して連れ出した場所。バイクで30分ほど飛ばした場所にある商店街。その中に建つ「ホビーショップ エルゴ」。シルヴィアは御影と、おれはミラーと入店する。 御影のヤツは最近エルゴに通い始めたらしく、早速店長と会話を始めていた。おれは店先の品揃えから初めて訪れた店のレベルを値踏みしようとした。が、あまりのレベルの高さに言葉を失う。 パーツはオフィシャル武装のバラ売りからハンドメイド装備まで。メンテナンス用品は廉価版から最高級品。おまけに非常に可愛らしい神姫用衣類まで扱っている気合の入りっぷり。店頭に並んでいない商品も情報端末で検索、発注すれば倉庫から取り出せる仕組みになっていた。これら大型神姫センターに引けを取らぬ品揃えとサービス、それでいて価格は抑えられており、この店の経営者のやる気がヒシヒシと伝わってくる。ホビーショップエルゴの鬼気迫る経営戦略を抽象的に表現すれば、「見晒せ、俺の男気!」ではないだろうか。 後でシルヴィアから聞いた話だと、シルヴィアをエルゴの店長に紹介する際に御影が《レッド・ホット・クリスマス》の二つ名を、まるで前からそう呼ばれてたかのように冠して紹介したらしい。何でも「南半球で繰り広げられる真夏のクリスマスの、浜辺に寄せては返す波のような、高度な戦術を評して」だとか。それまでは二つ名など興味ない。と言った雰囲気のシルヴィアだったが、内心うれしく思ってるのは確かだ。目が笑ってる。 大会選手控え室からバトル会場へ。圧倒的なギャラリー。広大な空間。眩しすぎる照明。周りのバトルスペースで戦う参加者達。緊張感を感じるが、これに押しつぶされる事は無い。バトルが始まれば緊張感が消える事を知っているからだ。このテンションでもって、荒ぶる気持ちをなだめすかす。周りの熱狂が反作用し、思考が冷静に冴え渡るのを感じる。持てる技術と育てた戦術。強さと言う自信が身体から溢れれば、総ての要素が力となる。 第六会場で対峙するシルヴィアと猫型。戦闘開始のカウントダウンまでの間に敵の武装情報を探り出す。敵は猫型素体の特性を伸ばすカスタマイズ、高い運動性と装甲を利用した、近接戦闘が得意なタイプと予測。一見、遠距離からの狙撃が有効に見えるが、相手が装甲に物を言わせれば強引に接近される危険性がある。格闘武器でフル武装する神姫に接近戦を挑まれてはシルヴィアは手も足も出ないだろう。ならば、相手が格闘を挑んで来るタイミングで、こちらからも格闘を仕掛ける。ただしこの格闘は囮。敵の虚を着き一気に離脱。その際に生じる隙に付け入る。 これらをまとめ、急接近と急速離脱を繰り返す一撃必殺戦法をシルヴィアに伝える。 不敵な笑みで応える《レッド・ホット・クリスマス》シルヴィア。 シルヴィアの一回戦目が開始された。 ホビーショップエルゴは一階がショップに、二階はバトルフロアになっていた。 肩の上に乗るミラーが言うには、キョウジがおれ達を引っ張り出した真意は二階にあるそうだ。ショップでのパーツチェックもそこそこに、バトルフロアへ足を運ぶおれとミラー。フル稼働中のバトル筐体と休憩スペースを備えた二階は盛大に盛り上がっていた。 休憩スペースにはバトルをモニタ出来る大型スクリーンが備え付けられていた。既に休憩スペースのベンチに根を張っていた御影とシルヴィアが何か会話をしている。 おれ達は、彼らから離れたスペースで試合を観戦し始めた。常時携帯しているモバイルでタクティカルアナライザーを起動、次々と登場する個性的な神姫達の戦術を分析し始める。二丁拳銃を使いこなす兎型や、狙撃と格闘に長けた(シルヴィアと同じスタンスだ!)眼帯の悪魔型、同じ悪魔型でもレッグパーツの脚力を駆使した空中殺法を得意とする神姫、高機動ユニットを背負い分身等の電子戦を織り交ぜた格闘戦を得意とする猫型など等。彼女達の戦う姿は戦略分析を抜きにしても楽しませてもらった。中には逆光を浴びて名乗りを上げるマントの騎士型なんていたな。 だが、彼らの戦術は個性的で、個々の能力を完全に活かしきった戦闘をしていた。言い方をかえれば強烈に完成し過ぎているのだ。今のシルヴィアが取り入れられそうな戦術はほとんど無い。こんなバトルを見せる為にヤツはおれ達を引っ張り出したのか? この時点でも、おれは御影キョウジの真意を推し量る事は出来なかった。 しかし後のミラーに言わせれば、この時のおれはワクワクした表情で「ウホッ、こいつらと対戦してみてえ」と顔に書いてあるようだったらしい。 続く 戻る TOPへ 次へ