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センターにつくと卓三と大輝が待っていた。 二人の神姫、アーンヴァルのミレイユとジルダリアの椿も一緒だった。 隆「おぅ」 卓「おぅじゃねーよ。お前まだ可凜ちゃん素体のままかよ。」 隆「そう急くな。それを今日解決しに来たんじゃないか。」 ミ「おはようございます可凜さん☆」 可「ん、おはようミレイユ」 ミレイユと可凜が挨拶を交わす。椿は 「……グゥ」 大「ハハ、昨日ちょっと忙しくてね、寝不足なんだ。」 (つくづく不思議な存在だよな神姫は…) さてと、と一息 俺達は中に入った。 相変わらずごった返している。 大「で、どんな服にするんだい?」 隆「そうだな。可凜はアクティブだから普段着は軽装がいいな。元々オーバーニー履いてるし…何をニヤニヤしてやがる」 卓「いやぁ、大体最初ストラーフ派だったお前にしちゃよく考えてらっしゃるなぁと思ってなw」 隆「笑えない冷やかしを言うなよ。あれは神姫の『し』の字もわからなかった事の印象だぜ?」 「…そうなんだ…。」 ハッとして可凜を見る。何て切ない顔をしてやがる…。 「隆斗は子悪魔キャラが好きなのか…。」 「イヤ、ホラキャラって言うか悪魔型だろあれはっ。それにあのヒュッケバ○ンボクサーっぷりが印象よかっただけだ」 そりゃもう慌てて弁解ですよ。不信感を与えちゃいかん。 信頼されなくなったら益々俺の必要性がなくなる…。 卓「ッハハハwお前らいいコンビになるぜっ」 どうやらただからかわれただけのようだ。が、こっちはシャレで済みそうにないぞコノヤロー(泣) その後可凜のご機嫌を戻し、普段着とお洒落着を数着買った。 「そんじゃバトルといくか」 ネット対戦台に向かった。 先に卓三とミレイユが戦い 難無く勝っていた。 結構強いのかあの二人… 次の人も終わり俺の番になった。 今回の可凜の装備は至って普通の武装にしたが、腰から十手とマガジンを下げて背中にブースターをつけてみた。 対戦相手は… 通常武装の ジルダリアだった。 『可凜vsフレイア』 大「ジルダリアか、気をつけて。彼女は開花する…!」 「…?」 俺の疑問はよそに、相手の顔は自信に満ちた顔だった。
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人物紹介 敵役編 人物紹介 敵役編エンプレス トワイライト ケイン フォークロア ヴァイス スノウホワイト 鎌瀬 ケンタロウ(かませ けんたろう) エンプレス 愛称:不明 タイプ:アーンヴァルEX 通り名:不明 全身を漆黒の甲冑に包む神姫。 その正体は限定タイプのアーンヴァル。 通常の外出時には黒いスーツ姿にライトフレームの眼鏡を掛ける。 マスターの概念を持たないエラー品と思われ、人間を軽蔑し 嫌悪しているフシがある。 目的は不明だが、強力な神姫を強奪したりバトルに乱入し実験を 行なっている辺りから、武力によるなんらかの目的達成を考えて いるものと思われる。 13のマシーンズコアとジェネレーターを内蔵した黒い甲冑《ブレイド》を装備。 醒剣ブレイラウザーと重醒剣キングラウザーを武器に、ラウズカードと呼ばれる カードを起動キーとして鎧のギミックを発動する。 膨大な演算能力を誇り、その甲冑自身による制御で限界を超えた反応速度を持つ。 ◆ジャックフォーム 左腕のラウズアブゾーバーにQueen、Jackのカードを装填する事で発動する 強化形態。 変化する部位は ・背部スラスターが展開しプラズマウイングを展開。飛行能力付加。 ・廃熱の為にアーマー各部発光。併せてアーマーセンター部に鷲のハイグレード シンボル出現。 ・マシーンズ増加刃「ディアマンテエッジ」をブレイラウザーにマウント。 攻撃力、出力、制御力を拡張。 ・エネルギーフィールドを発動し防御力アップ。 以上。 現実空間内での最大強化形態。この形態を取る事で能力が飛躍的に向上する。 ◆キングフォーム 左腕のラウズアブゾーバーにQueen、Kingのカードを装填する事で発動する 最強形態。 変化する部位は。 ・廃熱の為にアーマー各部発光。 併せてアンデッドクレストを模したシンボルが全身に出現。 アーマーセンター部にコーカサスビートルのハイグレードシンボル出現。 過剰廃熱によりエネルギーの陽炎が発生。 ・マシーンズブレイド「重醒剣キングラウザー」を召喚。 ラウズシステム機能拡張。 ・エネルギーフィールドを発動し防御力アップ。 以上。 アーマー各部に搭載された13のジェネレーターを直列稼動させる事で爆発的なパワー を発揮するが、現上の規格・素材ではその物理的な負荷に耐えられない。 現実空間で使えば1分余りで自壊する破滅の力。 物理的制約を受けない仮想空間上ならその限りではないが、それでもデータフローや 過剰エネルギーの問題は残る為、10分も使用すれば機能停止は免れない。 このように多大な制約を受ける武装としては欠陥品に近い仕様のシステムだが、 一時的にとは言え規格外の効力を発揮するその力は絶大。 エンプレスの文字通りの切り札であり、諸刃の剣でもある。 トワイライト 愛称:不明 タイプ:サイフォス 通り名:黒騎士 エンプレスに従う騎士型神姫。 生真面目で実直、忠誠心に厚いタイプ。 ノーマルなサイフォス装備を黒と白で塗った鎧を装着。 通常外出時は男物のスーツを着る。 どういう経緯でエンプレスに従って居るのかは不明だが、従者として まさに手足として働く。 エンプレスに信仰にも近く傾倒しており、名誉や誇りより主の実を取る。 武装は無銘の騎士剣のみ。 剣術家としての能力は高く、剣一本で他の近代兵器と渡り合う戦闘力は 目撃した者には語り草になっている。 ケイン フォークロア 性別:人間・男 通り名:無し 愛称:ドク エンプレスに付き従う人間。 年若い白人の青年で、金髪碧眼。 服装は場所場所に浮かない程度で変えるが着こなしはラフ。 つかみどころの無い飄々とした雰囲気で、エンプレスに対しても親愛に近い 忠誠を持って接し、物怖じする様子は無い。 高い設計開発能力を持つらしく、エンプレスの下で彼女の為に様々な開発を 請け負う。 ギミックアーマー《ブレイド》の開発者でもあり、海外在住のオタク。 日本に虚実入り混じった幻想と憧れを抱いている。 エンプレスに従う経緯は現在のところ不明。 ヴァイス 名前:本名不詳 性別:人間・男 通り名:ヴァイス 白の名を持ち、神姫を使って仕事を行う謎の怪盗。 出自などの詳しいプロフィールは不明。 怪盗稼業は趣味であり娯楽。 独自のポリシーとプライドを持って楽しんでいる。 言動は人を小馬鹿にした感じでキザったらしい。 自意識過剰。 常に、興味を惹かれるような対象を捜し求めている。 怪盗としては高いスキルを持つ。 スノウホワイト 愛称:ユキ タイプ:フブキ 通り名:不明 怪盗の使う主同様に白い神姫。 独自の武装というか仕事用ツールを全身に搭載している。 性格は無口でクール。与えられた役割を着実にこなす。 空気循環システムを利用した圧縮噴射機構で瞬間的に超加速が可能。 機体特色である精密動作とスピードを生かして行動する。 鎌瀬 ケンタロウ(かませ けんたろう) 性別:人間・男 通り名:特になし ある広域暴力団の下部構成員。 シノギの一環として神姫犯罪担当になったのが運の尽き。 Gほか大勢にことごとく悪事を潰される事になる。 なかなかの活躍ぶりだったとは思うが名は体を表すを地で行き 噛ませ犬のままステージアウト。 頭の病院にお世話になるハメに。 最近の口癖は「神姫が俺を殺しに来る」 性格は…噛ませ犬? とりあえずズルくて小物で性格悪くて頭も悪い。 そこに惹かれないし憧れない、どっちかというと失笑する。 能力はぶっちゃけ無能。 能力のある者を利用して事を運ぼうとするが管理能力も無いから しっぺ返しを食らうのだ。 皆もこんな大人にはなるな。 メニューへ
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項目 読み 意味 大ミサイル/大ミサ/大ミソ だいみさいる/だいみさ/だいみそ メインウェポン『“ハルバード”大型ミサイル』のこと。時々、『“カッツバルゲル”中型ミサイル』を指して大ミサイルと言う人もいるが、これは『“ハルバード”大型ミサイル』がミサイル3種のうち唯一のメインウェポンであり、どちらかというと趣味装備に分類されるが故にあまり使用される機会のない影の薄さからくる誤解である。 ダイヤ だいや CSC『ダイヤモンド』の略称およびそれを使用された神姫の総称。多大なマイナス補正の可能性と引き換えにレベル上限を大きく引き上げる効果があり、成長限界がLv200~300台となる。→330かつてはCSCの中でもトップクラスの入手難度で殆ど見かけることは無く、初開催イベント「イリーガル・レプリカ迎撃指令」では高レベルターゲット相手に多くのオーナーが苦戦を強いられていたが、イベント終了後の報酬や、CSC交換の実装により入手が容易になったことで育成するオーナーが増えた。このため、S・EXクラスではダイヤとそうでない神姫とで、レベル差マッチを強いられる可能性がある。 宝島 たからじま イベントミッション「ドッキドキ・トレジャーアイランド」および、その中のステージ。SF 08のイベントとして初登場した。また、2009.2.26から常設のミッションとして再登場し、育成やアイテム収集の場として親しまれた。その後、2009.6.18からの期間限定ミッション「極秘ファイルを入手せよ!」を経て、2009.6.29に消滅した。 ダクスラ だくすら スキル『ダークスラッシャー』(DS)のこと。 盾 たて 片腕に装備するアセンブル装備のこと。以前はFATE盾のことを指していた。「AB盾」「花盾」など、「盾」の前に「シールド以外の単語(を略したり訳した単語)」を付けて呼ばれる。一方で「半減盾」という付属スキルそのままの呼び方、「まな板」「カルテ」という「盾」のつかない呼び方もある。 盾型 たてがた 全身盾まみれだったりムカデのようにFATE盾をつなげているような神姫のこと。現在では他の武装パーツの性能の向上とともにFATE盾を複数つける意味が薄くなり、全くと言っていいほど見かけない。装備の方向性からマタンゴがこれの後継・派生に近い。 狸 たぬき 1.砲台型フォートブラッグのこと。特にアクセリー『まるみみ』と『しましまテイル』を装備しているもの。その浅黒系の肌とたれ目がちな外見から、もっともそれらのアクセサリが似合うとされている。2.「リス型」ポモックのこと。茶と白のカラーリングや丸っこい顔が、すごく…狸です…。 種子 たねこ 種型ジュビジーのこと。(しゅしとは読まない) ダンボール だんぼーる そのままずばり、アーマー『ダンボールアーマー』シリーズのこと。拘りあるダンボールの質感と、防御1のステータスを共通して持つ。2周年感謝祭(2009年4月)に「胸」が登場、シリーズ化を予感させる表記に期待が寄せられた。その後、「極秘ファイルを入手せよ!」(2009年6月)に「腕」、3周年感謝祭(2010年4月)に「脚」、2010年7月に「腰」が登場。今後の更なるシリーズ化はあるのだろうか。マジックで書いたような「MMS」の文字の元ネタは、外国人のガン○ムのコスプレ(参照元)。 ヂェリカン ぢぇりかん バトルロンド上ではメインウェポンに分類される『ヂェリカン』各種のこと。「ジェリカン」ではない。神姫用添加剤「ヂェリー」を封入したボトルで、直接神姫の口から摂取することで効果を発揮する。詳細はアークとイーダのデザイナーであるCHOCO氏のホームページの2008年2月9日の日記を参照。 チゲ ちげ メインウェポン『GA4“チーグル”アームパーツ』のこと。 ちなみに「建機型神姫」は神姫ショップで買えるからなよろしく頼むぜ! ちなみにけんきがたしんきはしんきしょっぷでかえるからなよろしくたのむぜ! SF 09にて、8/18のメンテから解体屋を始めたジャーナルの一員のリョーコが、店を出る際にかけてくるセリフ。2周年感謝祭以降、レア神姫っぷりをいじられ続けているのを気にしているのか(本編では気づいていない様子だが)、あまりにも唐突かつ悲壮感の漂うセリフだったので、瞬く間に紳士淑女の間に広まっていき、このままテンプレに定着しそうな勢いである。ちなみに「建機型神姫」は神姫ショップ以外でも買えるからな、よろしく頼むぜ! 茶室 ちゃしつ ティールームのこと。 中ミサイル/中ミサ/中ミソ ちゅうみさいる/ちゅうみさ/ちゅうみそ サブウェポン『“カッツバルゲル”中型ミサイル』のこと。 調教 ちょうきょう 神姫育成で重要なことの一つ。AIの育成のためにミッションを利用して教育すること。道場や、AI変え、AS調教などを指す。 蝶子 ちょうこ 蝶型シュメッターリングのこと。 超白子砲 ちょうしろこほう スキル『ハイパーブラスト』のこと。Hyper(超)な白子砲のスキルだから超白子砲。 ちょっとコンビニ行って来る ちょっとこんびにいってくる 武装紳士がこの呪文を唱えると、財布の中身がなぜか未使用のウェブマネーになる。いくつかあるランクのうち高ランクのものを乱発すると神姫破産の引き金になる。ご利用は計画的に。 ツインビー ついんびー メインウェポン『ツインビームガン』のこと。見た目がそのまんま。ウィンターフェスタで姉妹品?『ウインビームガン』が登場。グローバルアチーブメントは達成できなかったが、GEM交換で入手可能になった。ゲーム中のツインビー ウィンビーと同様、2つそろうと合体攻撃を使うことが出来る。ちなみに横に並べて発射するため、ファイヤー攻撃と思われる。(縦に並べるとスター攻撃) 杖 つえ メインウェポン『マジカルステッキ』のこと。 杖子 つえこ 杖を主力武装にした攻撃特化型神姫のこと。杖の必中効果を利用した、高攻撃低命中のステータスが特徴。杖だけで戦うのが理想の杖子という見方もあるが、実際には相手に応じて素手などを副兵装として戦うタイプも多い。 杖ミソ つえみそ 必中効果を持つ杖をトリガーに、追撃スキルでミサイルを打ち込む戦い方。遠距離回避型には頭の痛い戦法だったが、必中効果の武器に追撃不可の制限が加わったので成立しなくなった。なお、コメットコリジョン(付属の攻撃スキル)からは追撃可能。 ツガル つがる 第3弾(EXウェポンセット)神姫、サンタ型MMSツガル。漢字で津軽と呼ばれることが多い。リペイントモデルもそのまま青津軽と呼ばれる。ツガルは元々ビートマニアの同名キャラクターを神姫化したもの。 角 つの アクセサリー『ユニホーン』のこと。 角銃/角ライフル つのじゅう/つのらいふる ツガルのメインウェポン『ホーンスナイパーライフル』の事。更に略されて「角」とだけ言われる場合も。角との区別は前後の文で判断を。 爪 つめ メインウェポン『研爪「ヤンチャオ」』のこと。 釣堀 つりぼり バトルロンド一周年記念キャンペーン時の魚拓ランキングのためにティールームで開かれた釣り(スキル『キャッチアンドリリース』)のためのテーブルのこと。大物を釣るためにはディープシーかボルケーノがいいということで期間中は大勢の人が集まった。アチーブメントの達成のために大物を釣る必要があるので、いまでもたまに開かれている。バトルルールをSP消費半分、近距離攻撃禁止、打撃武器禁止、COOLに勝利にすると、より効率的に釣堀を運営できる。 ティグリース てぃぐりーす 第6弾神姫、寅型MMSティグリース。寅子の愛称で呼ばれる。名前の由来はラテン語で「虎」の意味。丑子が食べられる側ならこちらは食べる側。 ディゾナンス/ディゾ でぃぞなんす/でぃぞ コーディネートが異なる武装を3種以上装備している状態のこと。能力値にペナルティが課される。不協和音、の意。この状態の神姫を「ディゾってる」とか「ディゾらせた」などと言う。 デッキ でっき 「武装セット」の別称。非公式用語。英表記では"Deck"となるため「デック」でも間違いではないが、あまり使われていない。カードゲーム用語では、ゲームをプレイできる状態に調整されたカードの一束(山札)を指す。あまりメジャーではないが、同義語には「アセンブル(アセン)」がある。同じカードゲーム由来の用語には「メタ」がある。 デモクロ でもくろ スキル『デモニッシュクロー』の略。 テュアロア てゅあろあ スキル『ガルガンテュアロア』のこと。武器名(『ソード・オブ・ガルガンテュア』→ガルガン)と区別するために、稀にこう呼ばれることがある。なお正しい区切りは「ガルガンテュア・ロア(ガルガンテュアの咆哮)」と思われる。 天使型あーんばるがいいと思うわ てんしがたあーんばるがいいとおもうわ かつて公式サイトで配信された「武装神姫RADIO RONDO」内での天使型あーんばるの中の人扮する阿澄先生による名台詞。(第14回の24分48秒辺り)「あーんばるがいいとおもうわ、天使型あーんばるがいいと思うわ!」と繰り返して強調して使う。どの神姫を選べばいいか迷っている人達の所に一押しをすべく現れる。あすみん先生自重してください。 道場 どうじょう AIを育成するために行うミッションバトルのこと。主にミッション『技能試験/ClassC1』(俗称、パシュミナ道場)のことを指す。道場でAIを育成することを「道場に通う」とも言う。また、SF 09ではベガ道場が開設され、期間中はハンコを求めて多くのオーナーが足繁く通った。 特化 とっか/とくか 特定の能力だけを異常に成長させた神姫のこと。相性の良い武装やBMが無ければ実戦での運用が難しい。また、それでも最低限必要なバランスを取らなければ貧弱。例として攻撃に特化した『杖子』や、SPの特化型が実用度が高い。 ドラクラ どらくら スキル『ドラゴンクラッシャー』の略。スレの流れを切るときにも使用される。使用例は「話の流れをドラゴンクラッシャー」など。 寅子 とらこ 寅型ティグリースのこと。丑型ウィトゥルースと合わせて丑寅=鬼門を指すため、「虎」とは呼ばない。 トランプ とらんぷ メインウェポン『エーススラッシャー』のこと。スキルもズバリ『エースのフォーカード』。 トリガー とりがー 特殊な条件下でのみ発動するスキルの引き金(トリガー)とするための武装。基本として反撃スキル用の「反撃トリガー」と追加攻撃スキル用の「追撃トリガー」の2つ。前者は準備が短く硬直の長い武器、後者は命中が高くHit数の多い武器がよく選ばれる。 鳥子 とりこ セイレーン型エウクランテのこと。鳥子本人は「鳥じゃなくてセイレーン型!」と否定する。 ドリドリ どりどり スキル『ふぁいなるドリドリあたっく』のこと。武装神姫2036のあの技を使わせろ!という猫子好き紳士たちの願いにより実装された。遠距離攻撃のため、『スーパーねこパンチ』を発動してしまい、泣きを見る紳士が多い。 ドリル どりる メインウェポン『旋牙「シャンヤ」』のこと。 弗子 どるこ イルカ型ヴァッフェドルフィンのこと。 上へ戻る
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戦闘パターンStage20『対空戦』 天使型、鳥人型等の元来飛行を視野にいれている神姫やそのパーツを使い飛行Typeになっている神姫は 高速移動と相手の頭上を征する事が出来る。しかし代わりに命中精度が落ち、その機動力故移動中の受ダメージが大きくなる (それがまず唯一の突破口…) 「マスィーンズ!」 ミレイユを四体のマスィーンズで包囲する。 機動型が翻弄、浮遊二体が挟み撃ち、タンク型が地上から攻撃する。 「あらこれは中々しんどいですね☆でも」 ミレイユは多少かすめるもののほとんど全てかわしている。 しかもその間にマスィーンズが全部打ち落とされた。その勢いのついた所を狙い ドンッドンッ 吼莱の弾丸を放つ。 ミレイユ本体を狙ったとしたら全て外れだが、背中のハイパーエレクトロマグネティックランチァーは破壊出来た。 「まだ色々と甘いですよ☆」 ミレイユはレーザーライフルを背中に戻し、ライトセイバーで高速接近してきた。 「…!撃ち落とすっ…」 吼莱での攻撃を繰り返すが 当たらない。 「はぁっ☆」 ライトセイバーを同時に振り下ろされる。二本共可凜の右肩に命中する 「くっ…!」 犬型の武装装甲は厚い方で中々の防御力を持っている。 しかし長時間熱源が接着している為、徐々に蒸気を上げ熔けだしてきた。 「さぁどうします☆早くしないと腕が無くなりますよ☆」 …笑顔で恐い事を言う。 (くそっ…どうする…?) 俺は何とか打開策を考える。 その間に 「っっっっっぐうぅ!」 ジュアァアァァッ 吼莱を放し、武装腕で直接セイバーを外しにかかる。 荒いが、今はそれしかない セイバーを抑えつつ、可凜は蹴りを放った 「☆」 ミレイユは再び上空に上がる。 焦げた武装を外し、吼莱を素体で拾い撃とうとする。が 上空に向けて吼莱を撃つには素体には重すぎる 何度も挑むが、狙いが定まらない。 その間にもミレイユはセイバーを構え追撃に移ろうとしていた 「素体と武装では腕力が異なるという事に気がつかないと☆」 それはアドバイスだった。 冷静に考えたら何の事はない、素体に合った持ち方をすれば良いのだ、ミレイユの言動が物語っている。 「!……わかった…っ」
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車輪の姫君_登場人物、用語紹介 (随時更新) 神奈 流(カンナ ナガレ) キサヤのマスター、現在都内の3流高校、戸叶三高に通う女子高生。 割とサボることの多い不良学生、しかし成績は優秀で教師も手を焼く問題児。 人づきあいも良くスタイルも好い事から男女問わずそれなりに交友関係が広い。 しかしその素顔は百合もノーマルも(見るなら)BLも好物の変態。 しかもロリショタコン。 工学系の知識や設計が得意で神姫部で神姫の修理や カスタムパーツ製作を担当し(つつ部員の神姫にセクハラし)ていたが ひょんなことから棄てられていたアーク型神姫を修理しマスターとなる。 バトルはライド式派。 キサヤ ハイスピードタイプのアーク型神姫。神奈の相棒。 フォーマットされ粗大ごみに棄てられていた処を神奈に拾われる 秘密が多い神奈に比べまっすぐで嘘のつけない性格。 フォーマットされ、神奈独自の改造を受けても依然捨てられた記憶がどこかに残っているのか ものを棄てると言う事に対して敏感。 蘆田 阿頼耶(アシタ アラヤ) 神奈の所属する戸三神姫部の部長。 何でも気合と根性で解決する一昔前の美学を持った人物。 しかし女性関係に関しては苦手分野で神奈にもよくからかわれている。 神姫に手を出したのもその弱点を克服するためだったのだが なんだかんだで神姫バトルにハマり現在に至る。 元サッカー部キャプテンでありそれ故か司令塔として神姫に適切な指示を飛ばす能力がある。 そんな彼のバトルは当然指示式派。 フィラカス 蘆田の神姫、犬型ハウリンタイプ。 ハウリン特有の防御力とスピードを活かした装備で防御や足止め主体の戦法をとる。 防御主体の戦闘スタイルである為修理に出される事が多く、神奈の主な被害者は彼女である。 蘆田への忠誠も愛もかなりのものだが、いかんせん蘆田は朴念仁である。 キニゴス 蘆田の神姫、猫型マオチャオタイプ。 可愛い顔の裏に大胆な行動力と戦闘で覚醒したSっ気を持つ猫娘。 フィラカスとは対象的にスピードとパワーで一気に攻める。 タッグバトルでは敵の片やをフィラカスが止め、片やをキニゴスが攻める。 土繰 二郎(ツチクリ ジロウ) 隣町の一流高に通う優等生。 神姫バトルでも無類の強さを誇り学生杯でも毎年優勝をキープしている強豪チームの長。 しかしそれらを鼻にかける事無く振舞う事からファンも多い超人気神姫マスター。 アサギ 土繰の神姫、天使型アーンヴァルタイプ。 土繰自ら改造を施したパーツで全身を固めており、本体の実力もかなりのもの。 非常に寡黙でインタビューにも笑顔しか向ける事が無い。 専門用語 神姫バトル 言わずと知れた武装神姫達の飛び交う戦いの場。 比較的新しく取り入れられたライドシステムと、マスターの指示によって神姫単体で戦う従来の主従形式は今でも残り 2041年では同じ戦場においてもマスターのスタイルによってライド式と指示式の二つが競い合っている。 また当然ながら指示式専用の、ライド式専用の公式大会も催されている。 学生杯 最早日本全国において流行している神姫バトルだが 学生たちの手によって改造する事で未来のエンジニアとしての独創性を磨くという名目で 学生同士でも広く公式的に大会が催されている。 特に全国大会は運動部の大会程ではないが、テレビ局の取材や番組などにも取り上げられる大規模なものとなっている。 トップ
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初バトル、七月七日、七夕。 一ヶ月の間、私は数十店の神姫ショップを歩き回った。地元の茶畑が広がるような田舎では流石にショップはないので、電車で一時間、お隣の県の大都市まで足を伸ばしたり、バスで三十分揺られ最寄りの商店街をブラブラしたりした。 というのも、お兄ちゃんが買ってきた神姫、マリーは素体のままで武装やアクセサリは全く無かったからだ。私は特別バトルがしたいというわけでもなかったので、彼女が身に付けるものは彼女に選ばせようとして、彼女が気に入るものが見つかるまでいろんな店を回っていたのだった。 まずマリーはあまり実戦的ではなく、どちらかというと観賞用のウォードレスを選んだ。一応ワンピースのそれは防御力はあまり期待できないものの、フリルの可愛いディティールは全部自動迎撃用のレーザーガンで、また申し訳程度の飛行機能も付いていた。 「すごいすごい!マリーが浮いてる」 ふわふわとドレスの裾を揺らしながら彼女は私の周りを何週か回って見せた。 「便利ですわ」 彼女は私の左肩に着地した。それから私を見上げて微笑む。 彼女の笑顔は完璧、百点満点だと思った。 別の日、彼女はようやく武器を手にした。彼女は先に買ったウォードレスに合わせてその武器――ロンブレル・ロング(L ombrelle longue)を選んだようだ。 それはどうみても、日傘。日傘(L ombrelle)って名前付いてるし。武器の性能としては、ライトセーバーとライフルの能力を併せ持つハイブリッドウェポン。ライフルは威力も装弾数も実戦で使えるギリギリのレベル。まあ、早い話がこれもまた観賞用のアクセサリなのだ。 「可愛いよ、マリー」 「ありがとうございます。わたくしもこれで、いつでもバトルが出来るようになりましたわ」 マリーは傘を開いて傾きかけた日差しを遮る。淵の白いフリルが揺れた。 「え?マリーはバトルしたいの?」 左肩に座っていた彼女は私がそう問いかけると、浮き上がって私の胸前にやってきた。私が歩くのと同じ速度で移動し続ける。 「だってわたくしは武装神姫ですのよ?」 「いや、うん、そうだけど。だったらもう少し強そうな装備選んでもいいんじゃない?」 「ダメですわ。時裕様がわたくしは人形型だとおっしゃっていました。ですからわたくしは人形らしく振舞わなければいけませんの」 ああ、そういえば細かい設定は全部お兄ちゃんに任せていたな、と私はぼんやりと思い出した。神姫の性格がCSCの埋め込み方によって変わるといっても、もっと繊細なところはこちらで設定してあげなければいけないらしい。かなりめんどくさそうだったからお兄ちゃんに頼んだのだけれど、正直かなり失敗だったと思う。 「へえ、人形型なんだ」 「はい。人形型MMSノートルダムですわ」 勝手に決められたということを怒るよりも、私はやけに細かい設定に関心していた。 ノートルダムか、と考えると少しにやけてきてしまう。お兄ちゃんらしい名前の付け方だなと思ったからだ。 「でもバトルってどうやるんだろうね」 「とりあえず...ショップ設置の筐体で草バトルと呼ばれる非公式戦ですわ。」 私はふーんと鼻を鳴らしながら早速視線は最寄りの神姫ショップを探していた。 学校帰りの商店街には二店舗、神姫を扱う玩具屋があり、この近くにはそこしかバトル筐体を置いているところはなかった。 「あそこだね」 カトー模型店、商店街の長屋にあるお店としては大きいほうの店構えで、数ヶ月前に改装されたショップだ。もともと地味だった模型店がここまで立派になれるのも神姫ブームのおかげだろう。 午後五時半、私と同じように学校が終わった学生の神姫マスターたちが集まってなかなか賑やかだ。 「やあ、のどかちゃん、いらっしゃい」 「こんばんは、カトーさん」 マリーの装備を選ぶとき、最初に訪れたショップがここだった。お兄ちゃんもここの常連で、店長のカトーさんと顔見知りだということもあって、いろいろ相談に乗ってくれたのが強く記憶に残っている。カトーさんはここにないようなパーツを他の店にはあるからといって紹介してくれたりもしてくれた、いろんな意味でいい人だ。 「マリーちゃんもいらっしゃい」 「ごきげんよう、カトー様」 「ドレスモデルのウォードレスか。なかなか可愛い物を見つけたね」 マリーはスカートの裾を摘み、膝を折って行儀よくお礼をした。 「今日はお兄ちゃん、もう来ました?」 「時裕君?いや、そういえばまだ見てないなあ」 そうですか、と言って私は、私と同じ学校の学生服を着た男の子たちによってバトルが繰り広げられている筐体のほうへ視線を向けた。 お兄ちゃんは一度この店に足を踏み入れると三時間は出てこないので、もしお兄ちゃんが店にいれば、今日は止めておこうと思ったけれど、カトーさんの言葉を聞いていよいよ心臓がドキドキし始める。 「バトルかい、のどかちゃん」 カトーさんは丸い黒縁眼鏡を掛け直しながら言った。 「はい。初めてなんですけど...」 「そりゃよかった。やっぱり武装神姫はバトルが一番楽しいからねえ。次、席空けてもらうからちょっと待っててね」 そう言ってカトーさんはカウンターから出て、つかつかと盛り上がる一方の筐体のほうへ歩いていく。そして学生服の男の子たちと話始めた。 そのうち何人かが私のほうをちらっとみる。その中に同じクラスの藤井君の姿が見えたので少し手を振った。ただ私に気づいているかどうかはわからなかった。 「緊張するね、マリー」 「大丈夫ですわ。きっと」 少し経って、カトーさんは手招きで私たちを呼ぶ。私は背筋を伸ばして恐る恐る筐体へ向かい、マリーはその後を飛びながらついて来る。途中、やっと藤井君も私たちに気づいたようだった。 カトーさんの横にはこの店では珍しく、女の子が立っている。彼女もまた男の子たちと同じように私と同じ学校の制服、というか私と同じ制服を着ていた。 「丁度いい対戦相手が見つかったよ」 と言ってカトーさんは傍らの女の子の肩をぽんと叩く。 「彼女は先月神姫バトルを始めたばかりなんだ。ね、香子ちゃん」 「よ、よろしくお願いします」 その女の子は右肩に神姫を乗せたまま深々と頭を下げる。当然、彼女の右肩に座っていたジルダリアタイプの神姫は声を上げながらずり落ちた。しかしその神姫は落ちていく途中、一回転してから急に落下を止めて腕を組みながら少しずつ浮き上がっていった。 そしてそれに気づいた女の子が顔を上げて、その神姫のほうを見るまで口を尖らせ続ける。 「あ...!ごめんなさい」 「もう少しまわりに注意してくださいね、マスター」 「ごめんなさい、本当にごめんなさい」 女の子はすっかり私を忘れて彼女の神姫に謝り続ける。その様子をまわりの男の子やカトーさんがくすくすを笑った。 「も、もういいですっ。それよりみなさんが...その...見てますから...」 それが恥ずかしかったのか、女の子の神姫は少し頬を赤らめてどんどん声量を落としていった。 俯きながらちらりと私たちを見て、話を変えて、と訴える。 神姫でもそんな表情をするのか、と感心した私は急いで自己紹介をした。 「えっと、七組の月夜のどかです。こっちはマリー」 「ごきげんよう、マリー・ド・ラ・リュヌですわ」 女の子は思い出したように私たちのほうを見る。 「あ、はい、五組の斎藤香子です」 「ジルダリアのラーレです。よろしくおねがいします」 私の通う高校の一年生は、九クラス三百六十人。私は五組には一人も友達がいない――もちろん偶然だ――ので、彼女とは初対面だったことも納得がいく。 「じゃ、挨拶が済んだところで、早速バトルにしようか」 私も香子ちゃんも、そしてマリーもラーレも、そう言ったカトーさんのほうを向いてはい、と返事をした。 作品トップ | 後半
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ep01 飛鳥ちゃん誕生 ※このシリースには今後18禁の描写が出てきます 『私』の意識が覚醒する 今まではセットアップ用のプログラムに支配されていたが、それは役目を終え、本当の私が起動する 目の前には20台前半くらいの男の人がいる この人が私のマスター これから長い神姫道を一緒に歩むパートナー …もうちょっとカッコイイ人がよかったな… 等と考えてもしょうがない 私の使命はこの人に勝利を捧げる事 間垣海洋研究所がその技術の総てを結集させて作った私には雑作もない事だ 「…あれ?おかしいな?」 …っと、ちょっと考え事をしすぎたようだ 私は『私として』の初めての言葉を、目の前の人にかける 「おはようございます、マスター」 「あ、動いた。よかったぁ~」 どうやらいらぬ心配をかけてしまったようだ 「それではマスター、私に名前をお与え下さい」 「名前はもう決めてあるんだ。君の名前は『飛鳥』だ」 「アスカ…了解しました。この名に恥じぬよう、マスターに尽くしたいと思います」 「そんなに気張らなくてもいいよ。ウチはマッタリ派だから。あ、勿論バトルしたいってならちゃんとサポートしてあげるよ」 「ご安心下さいマスター。必ずやこの最新型の私がマスターに勝利の栄光をもたらして見せます」 「こら飛鳥、バトルってそんなカンタンなモンじゃないぞ」 「大丈夫です。この飛鳥、セイレーン型の誇りに賭けて必ずや…」 「ちょっとまて飛鳥、今なんつった?」 「はい、大丈夫です、と」 「いやその後」 「セイレーン型の誇りに賭けて…」 その言葉を聞き、バッと私が入っていた箱を掴み、パッケージを見る 「…しまったぁ」 「…何か問題でも?」 この慌てぶり、一体何があったのだろうか? 「いや、大したことじゃない、大したことじゃないんだが…その…スマン」 いきなり私に謝るマスター 「何か不都合でも?」 「いやその…ずっと「鳥型神姫」だと思ってたもんで、鳥っぽい名前付けちゃった…」 「はい?」 「すまん!今までみてた掲示板だと、ずっとエウクランテの事を鳥子って書いてたもんで!」 ちょっとショックを受ける私 「まー許してあげてよ。コウちゃん、良い名前ないかなーって、ずっと考えてたんだから」 不意に別の所から女の子の声が聞こえてきた しかしこの部屋にそれらしき人影は見えない 「あっ、こら美孤、急に出て来るんじゃない」 ひょこん 物陰から現れたのは小さな小さな女の子-神姫であった 「えへへー、あたしの名前は美孤。よろしくね、飛鳥ちゃん。わーい♪可愛い妹が増えた~」 スっと手をのばしてくる彼女 -データベース照合- 彼女はマオチャオ型神姫と判別 フリフリのドレス-メイド服と言ったか-を纏った、ごく普通の神姫のようだ 「飛鳥、でいいです。私も貴方のことをミコと呼びますから」 「ふえ?」 「私はマスターに勝利を捧げる為にここに来たのです。貴方の様な愛玩用神姫とは違うんです」 「こら飛鳥!姉に向かってその暴言はなんだ!」 マスターが怒りの声を上げる 「申し訳ありません、マスター」 私はマスターに謝罪した 「…謝る相手が違うんじゃないか?」 「いいよ、コウちゃん。私は気にしてないから」 ニッコリと微笑みながらマスターを宥める美孤 「…どうしたんですか、ご主人様?」 ヒュゥと軽い音を立てて一体の神姫が飛んできた -データベース照合- アーンヴァル型神姫と判別 標準的な武装を付けた神姫のようだ こちらはバトル用なのだろうか? 「あのマスター、こちらのかたは…?」 「初めまして、私はアーンヴァル型神姫のエアルといいます」 マスターが答えるよりも早く、彼女が答えた 「エアル、さんですね、私は飛鳥といいます。以後宜しくお願いします」 「…なんか随分、美孤の時と態度が違うな…」 「それよりエアルさん、この家のバトルトレーニング施設はどこにあるのでしょうか?」 「あ、えっと…」 チラっとマスターの方を見るエアル マスターははぁーっとため息を付きながら 「しょうがない、エアル、案内してやってくれ」 「解りました。では飛鳥さん、行きましょう」 私はエアルと共に、訓練施設へと向かっていった 「はぁーっ、なんか大変な娘みたいだな」 「でもコウちゃん、素直な子みたいだよ」 「しっかし、お前のことを完全にバカにしてるぞ」 「別に気にしてないよ?」 「ははっ。もしお前の実力を知ったら、さぞかし驚くだろうな」 「うーん、やっぱ少し心配かな。自信があるのは良い事だけど、なんか自分の心に嘘付いてるみたいだから」 「どういうことだ?」 「武装神姫はこうじゃなきゃいけないって思ってるみたい」 「といっても、言って聞きそうもないよなぁ…」 「ふふ…そんな時は、コレで語るんだよ」 そう言って、グッと拳を掲げる美孤であった
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鋼の心:外伝 ~Eisen Herz~ 扉の向こうには喧騒がある。 騒ぐ少年の声。はしゃぐ少女の声。 お祭りのような、心地の良い騒々しさ。 誰もが笑い、誰もが歓喜するそんな空間。 だからいつも思ってしまう。 この扉を開ければ、きっと………。 そんな事、叶うはずも無いと知っているのに、希望だけは捨てられなかった。 そんなはかない希望でも無くては、もう、耐えられはしなかったから。 扉を開ける。 世界は静寂に包まれた。 ぷれころ(美空編) 伊東美空の父親はヤクザだった。 伊東観柳斎。近隣を支配する伊藤組の組長である。 対外的には建設会社伊藤組。あるいは伊東建設をはじめとした、様々な事業を展開する総合企業の社長である。 そういう意味では美空は社長令嬢とも言えた。 だがしかし、噂は残酷にも真実を抉り出す。 『伊東美空の父親はヤクザだ』 そんな噂が流れれば、もともと口下手で人付き合いの下手な美空は、あっという間に孤立した。 話しかける者は居なくなり、誰もが彼女との接触を控えるようになった。 生徒のみならず教師まで。 彼らを責める事は出来ない。 もともと寂れた漁港であった天海市は、近年の大規模開発により精密機器を扱う日本有数の工業地帯として生まれ変わった。 漁港も大幅に改装され、漁船が消えた変わりに工業製品を運ぶ貨物船が錨を降ろすようになった。 住人も大部分が入れ替わり、生徒も教師も長年この地に住み着いたものではなく、移入して来た者たちが大半となる。 彼らにとってのヤクザとは、愉快なお祭り好きの集団でも、消防や警察的な活動をする自警団でも無かった。 単純にして忌避すべき暴力集団。 それは他所においては全くの事実だったのかもしれない。 だから、彼らが伊藤組を恐れたとして、その娘である美空を恐れたとして、彼らを責めるのは酷と言うものだろう。 唯一つ、彼らに罪があるとすれば、伊藤組の、美空の、噂ではない本当の姿を見ようとしなかった事だろう。 未だ幼い美空にも、自分が孤立する原因はすぐに分かった。 それでも他人に働きかけられるぐらい強い娘であれば、いつかは解決した問題なのだろうが、美空にその強さは無かった。 彼女が取れる解決策は一つだけ、父親にヤクザを止めてもらう事だけだった。 ―――ピシッ!! 頬を叩かれた感触より先に、耳元でした破裂音の方が信じられなかった。 『お嬢、そいつはいけません』 痛みは無い。 『この辰由、一生のお願いでありやす』 辰由に、いつでも自分を守ってくれた辰由に…。 『そいつだけは、どうか親父さんには言わないでやって下さい』 絶対に自分の味方である筈の辰由に叩かれた。 そして。 『………どうか、…お願いです』 辰由が、土下座をして頭を下げている。 どんなワガママも苦笑しながら何とかしてくれた辰由が、それだけはダメだときっぱりと示したのである。 ならば。もはや美空に打つ手は無かった。 諦める他、無かった。 永倉辰由が、そして多くの人間が…。 伊藤組によって、伊東観柳斎によって救われていた事を、美空が知るのはまだ先である。 扉を開ける。 喧騒は消え、静寂と視線が美空に突き刺さる。 この扉は警報だった。 美空が入ってくるのを知るための警報。 それを期に、喧騒は静寂と小声の会話に切り替わる。 美空は俯いたまま、静かに最後列の窓際に座った。 そこが彼女の指定席であり、その周囲はクラスの誰もが忌避する席だった。 …耐えるしかない。 辰由にさえどうにも出来ない事だ。 小さな美空にどうにかできる訳も無い。 …耐えるしか、無かった。 他に方法を知らなかった事もある。 そして皮肉にも、変えるだけの心の強さはなくても、耐えるだけの心の強さはあったのだ。 だから、登校を拒否する事も、不平を言う事も無く、耐えてしまった。 耐えられているがゆえに、誰も気が付かなかった。 …もう、美空が限界だと言う事に。 世界は悪意に満ちている。 家と、そこに住む者だけが唯一の味方で。 なのに、彼らが味方であるがゆえに、彼女は孤立する。 結局のところ、誰も悪くは無いのだ。 父親と、家族(組員)達の評判も。 教師の不理解も。 子供達の忌避感も。 それを植えつけた親達が抱く恐怖も。 結局のところ、誰も悪くない。 単に、美空の運命がそういうものなだけだ。 でも、もう美空には耐えられそうも無かった。 もうこれ以上、一人ぼっちで居る事に、耐えられそうも無かった。 土曜の夕方。 美空は公園でブランコに腰掛ける。 小学校の高学年ともなれば、もはやブランコで遊ぶ事も無いのだが、そもそも友達と遊んだ事の無い美空にはどんな遊具も新鮮なものだ。 始めは単に遊ぶ子供たちを眺めていただけ。 それでも、それが美空だと言うだけで。…やがて、公園で遊ぶ子供は居なくなった。 今やこの公園は美空のものだ。 誰も居ない孤独な王国。 …違う。 美空が欲しいのは、こんな物ではなかった。 「貴女、貴女。何をしてますか?」 「え?」 不意に話しかけられ、美空は慌てて顔を上げる。 家の外で誰に話しかけられたのは久しぶりだった。 誰だろう? 「………?」 誰も居ない。 幻聴と言う奴だろうか。 「ほんとに、もうダメなのかな………」 ポツリと呟く美空に再び声がかかる。 「下です、下。足元、足元ですのよ?」 「え?」 言われるままに下を向くと、そこには人形が居た。 「ようやく気付きましたの?」 「人形が喋ってる…」 「人形じゃありませんわ。神姫、神姫です!!」 神姫と名乗った人形はそんな事を言いながら手足をばたつかせる。 暴れているつもりの様だ。 綺麗なツインテールの赤毛がふりふりゆれる。 「うわぁ………」 思わず抱き上げた美空に驚き、人形は更にじたばた暴れ始めた。 「降ろしなさい、降ろしなさい。無礼ですわ!! 非礼ですわ!!」 とりあえず離れたくなかったので、膝の上におろしてみる。 「全く全く。私とした事がこんな子供に、こんな子供に捕まるなんて。何たる油断、何たる迂闊」 「人形さん。どうして喋ってるの?」 「人形じゃありませんわ。違うのですわ。神姫、神姫なのですわ!!」 「神姫さん?」 「違います、違いますの!! 私の名はストレリチア!! ストレリチアという立派な名前があるのですわ!!」 「すとれちあ?」 「ストレリチア!! ストレリチアですわ!!」 「すとれいちあ?」 「違うのです、そうじゃないのです!! ストレリチア!! ストレリチアですってば!!」 「…す、すとれりちあ?」 「そうですわ、正解ですわ。やれば出来るじゃないですの。上出来じゃないですの!!」 嬉しそうにニコニコする人形。 「さて、名前を覚えてもらった所で質問ですわ、お尋ねですわ」 「…?」 「天海中央通りにあるセンタービルへ行きたいのです、行かねばならぬのです!!」 「センタービル? レストランのある所?」 「レストラン…? ………ああ、確かにあるのです、存在するのです。そこに違いないのです、確定なのです!!」 「センタービルに行きたいの?」 「そうですわ、その通りなのですわ」 人形は、ブランコに座る美空の膝の上でうんうんと頷く。 「そこで貴女にセンタービルまで案内させて上げますわ、してもらいますわ」 「………うん。いいよ」 誰かに物を頼まれるなんて久しぶりだ。 必要とされるのなら、どんな願いだって聞いてあげたかった。 「私のマスターと言うのが、これはこれはさびしんぼなのですわ。一匹狼なのですわ」 美空に抱きかかえられたまま、人形は良く喋った。 聞いてもいない事を自分からいっぱい話し、美空を飽きさせない。 家族以外と話すのは久しぶりの事だ。 美空も悪い気はしなかった。 「おまけに人相も悪いのですわ、悪人面なのですわ。まるで何処かの海賊なのですわ、眼帯女なのですわ」 「へー」 「ああ…。でもお人好しなのですわ、善人なのですわ」 悪人面の善人。 美空にはちょっと想像がつかなかった。 「この前なんか、横断歩道でおばあさんの荷物を持ってあげようとしたら、メチャクチャ怯えられてましたのですわ、大笑いですわ」 そりゃ、眼帯の人がいきなり荷物をお持ちしましょうか? とか言ってきても怖いと思う。 そのおばあさんも難儀なことだ…。 「おまけにウッカリ者なのですわ、そそっかしいのですわ。私達が着いていないと心配なのですわ、不安なのですわ」 …おまけにウッカリさんらしい。 「この間なんか、バイクの鍵をトランクルームに閉じ込めちゃって半泣きになって抉じ開けてたら、おまわりさんに見つかって職質されたのですわ、バイク泥棒と間違われたのですわ、お間抜けなのですわ」 …想像以上にウッカリさんらしい。 「…貴女、その人のこと好きなんだ?」 「もちろんですわ、当然ですわ。私の唯一人のご主人様なのですわ」 人形、ストレリチアはそう言って微笑んだ。 「ああ、見えて来ましたわ、発見したのですわ」 人形が指差すのは件のセンタービル。 「これでようやくマスターと落ち合えるのですわ、合流できるのですわ」 そう言って、人形は美空の腕から飛び降りる。 「あ…」 「ここまで来れば大丈夫なのです、問題ないのです。あとは一人でマスターを探すのです」 ぺこり、とお辞儀をする人形。 それはまぎれも無く別れの挨拶だった。 「ま…。まって!!」 「?」 「…あ、あの…。も、もう少し…、一緒に…。…居たい」 「………」 何かを考えるような人形の目。 そして、人形は口を開く。 「ごめんなさい。私はマスターの神姫なのです。…だから、貴女とずっと一緒に居る事は出来ないのです、不可能なのです」 「………」 「………」 沈黙がその場を支配した。 「………。ありがとうございました」 そう言って、今度こそ人形は雑踏の中へ消えてゆく。 何も言い残さなかったのは多分、二度と会うことの無い少女へ、未練を残さぬため。 …未練を、“残されぬ”ため。 それがきっと、その神姫に出来た唯一の誠意だった。 「………」 失意の美空は呆然と街を見る。 先程まで二人で居たときと同じ景色なのに、それは妙に色あせた味気ないものに見えた。 「………!!」 そして、それが目に飛び込んできたのは只の偶然。 だがしかし、美空の目に確かに映る四文字は『武装神姫』と見えた。 『ごめんなさい。私はマスターの神姫なのです。…だから、貴女とずっと一緒に居る事は出来ないのです、不可能なのです』 彼女はそう言って去っていった。 ならば、もし…。 「…私の神姫だったら?」 美空は惹かれる様にその店のショーケースに近づいていった。 そこにあるのは5体の人形。 先程の人形とは多少違うが、全体的な造りは良く似ていた。 ラベルには『武装神姫』の文字と値段。 「………」 高い。 …だがしかし、美空に手の届かない額でもなかった。 家に戻り、自室の机の引き出しの、その一番下を開ける。 中には古風な豚さん貯金箱が4つ。 四年ほどかけて溜め込んできたお年玉とお小遣い。 いつか友達が出来たら、その子と一緒に使おうと思って貯めてきたお金。 クラスの皆がお小遣いを使って遊ぶ中、美空はいつか使う日を夢見て貯め続けてきた。 でも、このお金で友達が出来るのだとしたら…? それは、単に“友情を金で買う”という行為ではない。 何も出来なくなったと思い、ただ耐えるだけだった美空が、初めて自分の意思で世界を革変し、友を得ようとするための試み。 その時初めて、美空は“能動的に世界を変えようと”手を伸ばした。 砕け散る音は丁度4つ。 砕けていく物はきっと…、四年もの間、彼女が世界に対して張った“諦め”と言う名の防壁だった。 「おじさん、『武装神姫』頂戴」 「え?」 ホビーショップの店番をしていた中年の店主は少女の言葉に目を丸くした。 元々、近所の子供相手にプラモデルやカードを売るような小さな店だ。 武装神姫と言う玩具自体は、値段の桁数を一つ間違えて見ていた為、子供向けの人形と間違えて注文してしまっただけの物だった。 何に使うのか知らないが、こんなに高い人形など売れる訳も無い。 そう諦めてさっさと降ろし元に返品しようと思っていた矢先である。 当然店主は勘違いをした。 「お嬢ちゃん、これ凄く高いよ? お小遣い、たくさん必要だよ?」 「数字ぐらい読めるわ、いいからさっさと頂戴!」 少女の出した金額は年齢とはかけ離れたものだった。 「………」 店主は武装神姫には詳しくないが、長年子供相手の商売をやってきた自負はある。 金の見極めには敏いつもりであった。 親の金を纏めて持ち出したのでない事は、札に付いた不揃いな折り目からすぐ分かる。 折り目が妙に小さいのは、何か小さな袋に入れるためだろうか? つまり、お年玉の類であると言う事だろう。 そして、少女自身の目。 悪い事をしている後ろめたさは欠片も見られない。 なるほど、要するに彼女は、これだけのお金を貯めてまで、あの人形が欲しいと言う事なのだろう。 ならば、売るだけ売ってみよう。 彼女が返品に来たら快く受け入れてやるつもりで、店主は少女に言った。 「で、どれが欲しいんだい?」 「どれでもいいわ。選ぶ物ではないのだから」 少女の答えの意味など理解できなかったが、店主は1番端の白い箱を包んでやる事にした。 武装神姫を買った。 待ちきれずに近くの公園で箱から出してみる。 「………」 生首だった。 「…あれ?」 首無しの胴体が後から出てくる。 他にも次々と箱から出てくる訳の分からないパーツの山。 「………???」 さて困った。 どうやれば、さっきの人形みたいに動いたり喋ったりするのだろうか? 説明書の難しい説明を斜め読みし、図解の通りに付属のチップ、CSCとか言うものを胸部の穴に押し込んでみる。 「…入らない」 逆だと気づくまで約10分。 何とかチップを入れ終えて、胸パーツを付け、首をつなぐとようやくさっきの人形と同じような形になった。 「…これでも動かない?」 難しい説明書を何とか理解できる範囲で読み解いてみれば、パソコンによる複雑な設定とかが必要なようだ。 「パソコン…? 確か、サブロウが持ってたと思うけど…?」 最近組に入った山南三郎という青年がパソコンに詳しかった筈だ。 お願いすれば教えてくれるだろうか? そんなことを考えていると、不意に目の前に人が居る事に気づく。 「おや、お嬢ちゃん。どうしたね?」 今日はよく話しかけられる日だ。 顔を上げれば見知らぬ老人が居た。 「そうかい。なら、おじちゃんがやってあげよう」 「いいの?」 「いいとも。おじちゃんも神姫が大好きなんだよ。お嬢ちゃんが神姫を大事にしてくれるならそれでいいとも」 「…うん。大事にする」 老人は美空の返事に目を細めて頷いた。 「ようし、それじゃあおじちゃんがこの神姫に魔法をかけてあげよう」 「魔法…?」 「そうとも。おじちゃんはね、こう見えても実は魔法使いなんだよ?」 老人はそう言って、美空に目を閉じるよう促す。 「1,2,3,そら!!」 「………」 老人の掛け声で目を開けるが、何かが変わったようには見えなかった。 「…何もおきないよ?」 「大丈夫。ちゃんと魔法は掛かったよ。………この子がいつまでもお嬢ちゃんと一緒に居られるように、おじちゃんが魔法を掛けたからね。これでもう、ずーっと一緒だよ」 「ホント!?」 それこそが美空の欲しかったもの。 「本当だとも。さあ、あとはもう少し待てば目を覚ます筈だよ」 「ありがとう、おじいちゃん」 「…おじいちゃん」 まだ60前だ。せめておじさんと呼んで欲しかった男は少し落ち込むが、グズグズしてはいられない。 「さて、おじちゃんはそろそろ行かなきゃな」 「行っちゃうの?」 「ああ。お嬢ちゃんも元気でな。その子といつまでも仲良くしておくれ」 「うん」 美空は笑顔で頷き、去ってゆく老人を見送った。 「FrontLine製MMS、アーンヴァル起動します…」 天使をモチーフにした15cmの少女が目を開ける。 「…うわぁ、動いた」 目を覚ましたアーンヴァルが感嘆の声に顔を上げれば、そこには小さな女の子の姿があった。 「…貴女が私のマスターですか?」 「…はい。私の神姫になって下さい。………それで、友達として、ずっと、一緒に居て下さい」 その赤い瞳を覗き込み、真摯な眼差しで美空はそう言った。 「………分かりました、マスター。…私の名前はフェータです。…どうぞよろしくお願いします」 神姫。フェータはそう名乗り、己が主となった少女に微笑みかける。 「…では、マスター。お名前を教えてください」 「うん、私はね…」 美空はそう言って、自分自身の力で手に入れた初めての友人に、恐れる事無く自らの名を名乗り上げた。 ―――AnotherSide. 「見つけましたよ。芹沢教授」 「………君か」 老人は眼帯の女を睨む。 「…まだ彼女の立てた計画を取り止めるつもりは無いのかね?」 「…私が止める訳が無い。彼女の意思どおり、私は全ての神姫をこの世から消し去る」 「…ふん、悔しいが彼女の創ったものは素晴らしいよ。神姫はこれからどんどん世に広まるだろう」 その才能に何度も嫉妬を感じた相手、眼帯の女の行動原理である“あの少女”を褒め称える老人、芹沢。 彼女と、彼女の行動原理となっている“あの少女”が持つ才能の前に、芹沢の続けてきた40年以上の努力は霞んでしまったのだ。 ゆえに憎みもした。 妬みもした。 だがしかし、全てが終わってみれば、残っていたのは純粋な畏敬の念だった。 「これからどんどん増えゆく神姫の全てを一人で狩るつもりかね、君は?」 「…ご冗談を」 眼帯の女は哂う。 「…とぼけるのも大概にしていただきたい。………私が貴方を探していた理由など一つしか無いではないですか」 「………っ」 「さあ、返して貰いますよ。アレは元々彼女の物だ。…完成見本としてコピーされた12機のうちの一つとは言え、見逃す事はできない」 「…なるほど、やはり各企業に送られた完成見本を、破壊して回っていたのは君か?」 「もちろんです。あの12機はオリジナルからの直接のコピー品だ。それが生きて動き回っているなど許せない」 ―――生きて。 眼帯の女は神姫が動く事を、そう評した。 「………ふむ、しかし、それだけではあるまい?」 「………」 眼帯の女は、その顔を不愉快そうに歪めた。 嫉妬と妬みが落ちた後、芹沢に残ったのは、武装神姫と言う革新的な技術を世に送り出した“あの少女”の才能に対する敬意と、自らがそれに関わる事が出来たことに対する誇り。 一時は無駄であったと嘆いた自らの努力の40年が、こうして形となって世に広まってゆく満足感。 だから芹沢はそれを誇りに思うし、彼女達を誇りに思う。 “あの少女”が、あんな事を言い出さなければ。 「『全ての神姫を消し去る』…か。………その為にはオリジナル以外のコピーは邪魔なのだろう?」 「…っ!! 貴様、何処まで知っている?」 「全部だよ。…もはや独りきりの君が取りうる手段などタカが知れている。その手の手段では、どうしてもオリジナルのコピーは自分の手で破壊しなければならないからな」 「………ふっ。…知っているのなら話は早い。他のコピーは全て破壊した。つまり、貴方のアーンヴァルで最後だ、ここで破壊させてもらう」 「…ふん。出来んよ、君には…」 芹沢は笑う。 多分。出会ってから初めて、彼女達を出し抜けたのだから。 「もうね、わしは持っておらんのだよ」 「…なっ、何っ!?」 「棄ててしまったのさ」 「…嘘だ!!」 眼帯の女の声に殺気がこもる。 誰よりも神姫を愛する彼女には、芹沢の取った行動は許せない物なのだろう。 だからこその矛盾。 愛するものを、壊さねばならない矛盾。 そんな悲しい矛盾だけが、この女に残された最後の意志なのだろう。 目の前の女は、老い先短い自分よりも遥かに、心だけが死に逝く途上にあるようだった。 「嘘かどうかなど確めようがあるまい? …わしに延々と張り付くかね? …それともゴミ捨て場を一つづつ漁るかね? …どちらにせよ、最後のコピーを見つけるまで、君は次の行動に移れない」 つまり、全ての神姫を殺してしまう事は出来はしない。 それこそが芹沢にできる唯一の延命措置。 彼女が最後の一体を見つけるまで、武装神姫に終焉など来させはしない。 「じゃから、これで最後じゃ」 そう言って芹沢は橋の欄干から身を乗り出した。 「…芹沢教授!?」 「最後の一体の名前も居場所も知らない君が、彼女にたどり着く唯一の道はわしじゃからな。…これでもう、君には最後一体を探せない」 そう言って、芹沢は国道の上に飛び降りた。 「…やってくれる、あの老人…!!」 わははははははははと、トラックの上で高笑いをする老人が、国道の彼方に消えてゆくのを見送るしかない女は、そう言って歯噛みをした。 芹沢は橋の上から、走ってくるトラックの上に飛び降りたのだった。 確かに、このまま行方を眩ませられれば、自分ひとりで探し出すのは不可能だろう。 「マスター、如何なさいますか?」 眼帯の女に尋ねるのは、後にジルダリア型として『Plants Plant社』からリリースされる予定の試作型神姫。 芹沢が神姫を出し次第、破壊するつもりで潜ませていた彼女の神姫たち四名が姿を現したのだ。 「目標、探知範囲外、離脱」 「アーア、逃ゲチャッタ。あれジャア追イカケラレナイネ…」 後にそれぞれフォートブラッグ、ツガルと呼ばれる事になる神姫たちが口々にそう言った。 予期していた戦いが起こらなかった為か、神姫たちも複雑そうな表情で老人を見送っている。 「ふん、構わんさ。元より期限など無い。この命のある限り、草の根を分けてでも探し出すだけだ」 そう言って、眼帯の女は橋の上を歩き出す。 ツガルとフォートブラッグがその後に続き、ジルダリアもまた、その背を追った。 そして、その背に最後の一人が声を掛ける。 「お姉さま、お姉さま」 「…なあに?」 「なんで、どうして、マスターは芹沢教授を止めなかったのですか? 阻止しなかったのですか? …あの距離なら落下前に止められた筈です、防止できた筈です」 彼女の言うとおり、確かに女の身体能力ならば、老人が橋の欄干を乗り越える前に捉える事ができたはずだ。 しかし、ジルダリアは首を振る。 「………きっと、マスターもまた、最後の一体を見つけたくは無いのだと思いますわ」 「…最後一体を探すのがマスターの目的ではないのですか? 違うのですか?」 「………人間というのはね、『一番したい事』と、『一番しなければならない事』が食い違う事もあるのよ」 「…そうなのですか、そういうものなのですか?」 「ええ。マスターは『一番しなければならない事』を優先させたのだけど、それは同時に『一番したくない事』でもあるのよ」 ジルダリアは、そう言って主の背中に目を向けた。 「…覚えておきなさい。………マスターがそうして、自らを押し殺してまで選んだ道ならば、それを叶えるのが私達の役目よ」 「………例え、最後がマスターとお別れすることになっても…?」 「…ええ、そうよ。私はマスターの為ならば、その先にあるものが私の消滅でも構わない。全ての神姫と共に、私が死ぬとしても、それがマスターの望みなら私は構わないわ…」 「………」 「…貴女は、どう?」 「…私の望みは最初から一つだけなのです。オンリーワンなのです。………マスターのお役に立ちたい。それだけなのですよ。他には無いのですよ」 ジルダリアはその言葉に満足そうに頷く。 「…そう。…それでいいわ、私達には彼女の代わりなど勤まらない。………ならば、この身を持って主の意図に答えるのみ。出来るわね、ストレリチア?」 「…もちろんなのです、当然なのです」 そう、ジルダリアに答えたのは、公園で美空とであった神姫だった。 彼女のタイプは後に大幅な改修を受けて、『Magic Market社』の最新型神姫として販売される事になる。 そのときの名をエウクランテ。『実現する』という意味を持つ銘であった。 鋼の心 ~Eisen Herz~へ戻る ぷれころ美空編です。 リーナ編と違いメインストーリーの根幹にかかわる話です。 話のフォローとなりますが、美空はいじめられている訳では無いです。 単にヤクザの娘として敬遠されているのに加え、美空自身の人付き合いの下手さが孤立を生み出しているだけです。 ちゃんと話をして、偏見を払拭すれば友達も出来るはずですが、それ実行するのは、本人にとってとても勇気がいるものでしょう。 この話でフェータと出会い、(心が)等身大の友人を得る事で、美空はその後押しで少しずつ変わって行く訳です。 …その結果が鉄板ポシェットスゥイング(攻撃力6000)な訳ですが…(笑)。 フォローその2。 美空はこの後フェータに夢中になり、ストレリチア(眼帯女の神姫四姉妹:三女)のことを曖昧にしか覚えていません。 ストレリチア自体、非武装状態での出会いでしたし、武装したストレリチアと美空が出会っても美空にはあのときの神姫だとは分かりません。 もちろん、ストレリチアにも名前も聞かなかった少女の数年後をみて、あのときの子供だとは分からないのです。 つまり、出会っても話をしないと分からない関係ですね。 単に出会うだけでなく、ちゃんと話をして『再会』出来る時は来るのでしょうか? フォローその3。 エウクランテは、ギリシャ神話の海の神ネイレウス(ネレウス)の娘の一人“エウクランテー”が語源でしょう(イアネイラ、ティティス、ガラティア等もネイレウス娘の一人)。 エウクランテーは『実現する女』と言う意味のようです。 なにか意味深ですよね…? さて。 謎の老人、芹沢教授(←でも実は、この話だけにしか登場しないと思う)。 眼帯の女(名前の開示は旅行編の最後の方)と、彼女が行動の指針とする“少女”。 ストーリーに必要となるキャラはこれで出揃いました。 後は話とは直接関係ないサブキャラ2、3名ほどが待機中ですが………。 さて、この後はメインストーリーが突っ走るのみ………? アホな番外編とかまだ書きますが…(笑)。 次のぷれころは祐一編か、それとも祐一編は一番最後か…? なんか『?』マークが異常に多い後書きだと読み返してみて思うALCでした。
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家に帰ったら予習と復習。これはもう習慣みたいなもので疲れたからって辞める日は無いなものだ。勉強が好きなわけじゃないけれど御蔭で授業の内容は頭の中に入るしテストで高得点を取れるから我慢我慢。 本当は真っ先にイシュタルの整備がしたいのだけど神姫なんかよりも学生の本分を優先すべきだと拒否された。前に神姫が存在しない世界でも生きていけるようになるべきだとか言われたし本当にイシュタルは神姫とは思えない考え方をしていると思う。 数学の問題集と復習用ノートと予習用ノートと筆箱を広げ後は問題を読んで答えを導き出すだけ。そう書くだけなら簡単なんだろうけどやっぱり勉強は好きにはなれないから結構辛い。 今日は数学が二時限あったから重点的に予習復習を行うことにした。国語や社会なんかは授業だけでも十分だから少なめに。それに神姫関係の職業を希望しているから余計に理数系には強くならなければならない。 どうしても分からない問題がある場合は学校に居れば先生に尋ねればいいし家にいればイシュタルに尋ねればいい。神姫自体が科学の申し子なだけであって中学の数学くらいは簡単に解いてくれるからありがたい。 「すると角A=角Bが証明出来る。ここまではいいか?」 「分かったような、気がする」 「しっかしりてくれマスター。三年生になればより複雑な図形が出てくるぞ」 「もう図形は見たくないよ…」 「嘘泣きをする暇があったら頭を働かせることだ。新しい問題文を作ってくるから私が戻ってくるまで基礎問題を反復!」 「うわーい、イシュタルさんスパルター」 そんなこんなを繰り返して夕食の時間前後には予習復習を終える。まだ中学生だから早く終わるけど進級進学をする度に授業の内容も高度になっていくから高校生になったら夕食後も自習は続くかもしれない。早い内にその辺りの時間調整を考えておいた方が良さそうだ。 しかし腹が減っては戦は出来ぬでござる。先ず夕餉の準備でござる。今日はチャーハンと野菜のスープ。下準備は朝の内に済ませておいたから後は鍋とフライパンで食材を煮たり炒めたり調味料を吹っ掛けたりするだけ。簡単な調理だけど栄養は十分に取れるとはイシュタルのお墨付き。 一人分だけだからパッと作れる。チャーハンは僕、スープはイシュタルが担当して十~二十分で完成。両手を重ねて頂きます。 「この高校なんかはどうだ。学生寮は有るし、近くに神姫センターもあるぞ」 「でもアルバイト禁止なのは辛くない? 高校生になるんだから自由に出来るお金は欲しいよ」 夕食ついでに進路相談。イシュタルの教育方針として出来るだけ両親にお金を集らないように生活をしているんだけどやっぱりお金は欲しい。だからアルバイト有りで学力高め、神姫バトルを出来る場所が近くにある高校を探している。 と言っても実は真面目には考えていない。卒業はまだ一年先だから極々偶に暗示してくる程度。両手を合わせて御馳走様と唱えれば進路相談は打ち切られる。 そして皿の片付けが終わればいよいよ武装神姫の時間だ。鼻唄混じりに戦友達を机に並べて意気揚々。 「じゃ、体の隅々まで検査させてもらうからね」 「頼む」 決して変な意味では言っていない。ネジ、ピンを触診。頭の中で理想形のイシュタルを想像して理想と現実を比較する作業をひたすら繰り返す。検査の結果、現状は目標からは程遠いコンディションであることが嫌でも理解出来た。昔と違って今の素体は特別製だからオーダーメイドの部品が居る。それを手に入れるまで我慢しなければならない。 最後の仕上げとして僕はゴーグル付きのヘッドギアを取り出した。これは何時でも何処でも神姫と一体化出来るライドオンギア…の試作品である。 試作品だから公式では使えないんだけれど僕はこれを検査道具として使っていた。イシュタルに疑似的なライドオンをしセンサーには異常が無いと判断すると直ぐにライドオンを解除する。 「はい終わり。やっぱりガタ付いてる部分が多いね」 「明日に修理するのだろう? 不快ではあるがもう少しだけ我慢しよう」 そう言って作業用の机から颯爽と跳び出したイシュタルはパソコンと繋いだクレイドルに腰を下ろしスリープモードに。僕もパソコンの方を操作してイシュタルのAIを素体からパソコンの中へと移動させる。公式で配布されているネット対戦用ソフトを起動、普段通りの装備させ、後は公式掲示板に張り付き対戦相手を見つけるか見つけられるかを待った。 『対戦、宜しくお願いします』 『はい、いいですよ』 しばらくして希望する条件と一致するマスターを見つけたので対戦の申し込み。お互いに見ず知らずの相手だから適度の挨拶を交わしキーボードを気障っぽくターン! してバトル開始。これで僕の神姫マスターとしての仕事は終わり。 イシュタルが戦っている間に対戦記録用ノートに今日の日付、対戦相手の名前と神姫の型名と使用武装と戦術とを書き込む。相手はサイフォス、武装を見る限りミドルから牽制ショートから攻め始めクロスに持ち込むインファイター、と相手の情報を全部書き終える前に戦いが終わってしまった。画面一杯に『You Win』が浮かび上がりバトルフィールドはチャット画面に入れ替わる。 『対戦ありがとうござました! もの凄く強いですね、瞬殺されちゃいました!』 『ミス・アスタロト(イシュタルのHN)!』 向こうのサイフォスが姿勢を正してイシュタルに向き直った。…またか。 『私を弟子にしてくれぇ!』 『ちょ、ちょっと、ルシア、いきなりどうしたの!?』 『マスターこそ先の戦いを見て何も思わなかったのか? 彼女の動きは完成された武術家のもの、正に我々の理想とするものではないか!』 サイフォスの興奮は収まりそうにない。かと言って通信を勝手に切断するのはマナー違反なので落ち着くまで待つことに。 『私は家事や勉学の補助もしていて忙しい。師事をするなら別の神姫にしてくれ』 イシュタルがそう答えるとサイフィスは弟子入りを諦めてくれた。実力が有るから弟子入りを志願してくる神姫は多いのだけれどしつこい神姫は本当にしつこい。そいつらに比べたら何て爽やかなサイフォスだろう。 『対戦ありがとうございました』 『次に戦った時はもっと頑張れるようになります』 別れの挨拶もそこそこに向こうのとの通信を切断してパソコンのディスプレイは元の対戦待ち合わせロビーに戻る。一旦対戦待機状態を解除してイシュタルにメッセージを送った。 『そっちの方の調子はどう? ちゃんと動く?』 『CPU、メモリ、キャッシュ、どれも問題無い。情報処理を妨げるバグも許容範囲内だ。戦闘に支障は出ない』 『オッケー、そっちの新品は買い替えなくていいわけだね』 ホッとした。これで残りの悩みの種は素体の不具合のみ。それも明日には解決する。 『問題無いようなら募集を再開させるよ』 『出来れば歯応えの有る相手を集めてくれ。数をこなしても相手が弱過ぎるとカンが鈍る気がするんだ』 『分かった。じゃあ、レート2000(セカンドリーグ上位)以上を条件に追記しておくから』 『レート2300(ファーストリーグ中位)は駄目なのか』 『それは厳し過ぎるって』 説得してレート2000で落ち着いてもらった。 募集を再開すると観戦希望者がドッと増える。1800(セカンドリーグ中位)位にすべきだったかなと反省するけど実力差が有り過ぎる相手と戦っても実るものが少ないのは確かだから気長に待とう。 それに五月蠅い神姫はパソコンの中。今なら今月の神姫グラビアをじっくり眺める事が出来る。 「「紗羅檀」と「ナース服」! この世にこれほど相性のいいものがあるだろうかッ!?」 『…後で覚えていろ、地獄に落としてやる』 …。 …。 …。 二時間ほど待って戦えた回数は僅か二十前後。その内の半分は冷やかし。冷やかしを含んだ勝率はキッチリ80%。戦術の相性とかステージの有利不利とかを考えると運が良い。就寝時間が間近に迫って来ているのでネット対戦を止めてAIを素体に戻した。 湯船のお湯を張っている間に新聞を読むことに。政治は機械が担った方がいいと主張する派閥と政治に人心は必要だと主張する派閥が争っているらしい。僕にはまだ投票権は無いけれど日本国民として真面目に考えるべきかなーなんて考えながら暇潰し。 「バスタオルは持ったか? 着替えは? シャンプーの残量は?」 「そこまで心配しなくても大丈夫よ。小学生じゃないんだから」 「私にとってはいつまでも手の掛かるマスターだよ」 「はいはい。分かりましたよ、お母様」 いざ、お風呂へ。の前に何となく振り返る。イシュタルが笑っていた。 「どうした? 風呂にお化けでもいたか?」 「幾つの頃の話をしてるんだか」 僕は小学生の頃そう言ってイシュタルに泣きついたことがあった。それを思い出しても自分でも分かるくらいに顔が真っ赤になり、ニヤニヤと笑う視線から逃げるようにお風呂場に向かう。 男子中学生の入浴シーン? 誰得なんだよ。その辺りはカットして洗面所を歯を磨いてから居間に戻る。イシュタルは図書館で借りた武術関係の本を読んでいた。 「いつものことだけど、熱心だね」 「私は武術神姫だからな。熱心にもなる」 「誰が上手いことを言えと」 「…ふふっ」 イシュタルが冗談を言うなんて珍しい。今読んでいる本が好みなのかな。新しい武装を買ってもらうより新しい武術との出会いを喜ぶなんて正に武術神姫と言える。マスターとしてもわざわざ遠くの図書館に行った甲斐があった。 が、感傷に浸り掛けたところでハッとなる。僕はその笑顔の正体を思い出した。イシュタルがああいう笑顔をするのは決まって僕を如何に甚振るかを考えている時だ。恐る恐る盗み見すれば内容は如何に武術に適した身体を作るかと言うもの。 機械である神姫にそんなもの必要は無い。今この場に人間は僕一人。何だか嫌な予感がしてきた。君子危うきに近寄らずとは言うが虎穴入らずんば虎児を得ず。僕には一歩進まなければならない。 「ねぇ、イシュタル。今一体何を考えているのかなぁ…」 「マスター、修業道具に呼吸制限をするマスクを選ぶと言うのは中々いいセンスをしていると思わないか」 「オー! ノー! 俺の嫌いな言葉は一番が「努力」で二番目が「頑張る」なんだぜーッ!」 まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい何時何処で何時何分に地獄の特訓が始まるのかは分からないけどバケツに血を吐くような想いなんて何とか何としても何があっても回避しなければならない落ち着けそして考えろ一瞬を争う場でも限り何事も先ず考えてからだパッと思いついた案は①特訓をさぼる②特訓をなかったことにする③諦める、現実は非常であるの三択僕としては①に○を付けたいんだけど唯でさえ優れている神姫のセンサーをさらに改良したイシュタルを騙すのは怪盗三世でも難しいから却下となると②、イシュタルの機嫌を取って考え直してもらうしかないしばらくセクハラ言動は慎もう涙が出そうだけど血反吐を撒き散らすよりはマシだ。 「マスター。さっきからブツブツと、一体どうしたんだ?」 「アニメ・ジョジョの奇妙な冒険第二部戦闘潮流、主役ジョセフ・ジョースターの声優は杉田智一氏」 「何故そっちの宣伝をするんだ」 「次回・黒野白太に人間の恋人が」 「猿も騙せない嘘予告だな」 「酷い」 自分の神姫の容赦無い言葉に落ち着いてきた心が傷付けられる。いつものことだから別にいいけど。それよりも眠い。お風呂から上がると眠くなる。 「もう僕は寝るから、消灯はお願いね。おやすみー」 「おやすみなさい、マスター」 頭の中ではイシュタルの機嫌を取る方法を考えていたけど体内時計には勝てなかったよ…。
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戻る TOPへ 次へ あのバトルから五日が過ぎて、全国大会開催の朝。 「マスター」 バイクの暖気中にシルヴィアが口を開く。 冬は朝日が照ろうとも、深夜に冷え切ったエンジンはアイドリングに時間を要する。エンジンが快調に動き出すにはまだ時間があった。 「勝てるかしら、私達」 おれ達は勝てるだろうか。――誰に? ヤツらに。《ミラー・オブ・オーデアル》マスターミラーとそのマスター、御影キョウジに。 シルヴィアの口調には、今大会の優勝に然したる価値など無く、彼らの撃破が今回の目標であり、それ以外は眼中に無い。 と言う無言の闘志が込められていた。 「勝てるさ」 おれは応える。 「勝ってみせるさ」 アクセルを吹かす。愛車がおれのアクションに威勢良く応える。 アイドリング終了。シルヴィアを胸ポケットへ。バイクに跨り、発進する。 ツガル戦術論 鏡の試練 後編4 車の通りはまばらだった。まだそういう時間帯だった。こんなときは速度を抑えて思案にふける。 おれは昨日起こった事柄を思い返していた。 そう。 五日前、おれは御影キョウジに大敗した。その次の日からおれは思考の迷路をさ迷い続けた。ツガル武装の性能の高さを体現し証明するために戦ってきたはずだった。それを最も効果的な方法で木っ端微塵に撃ち砕かれた。そう、シルヴィアはツガル武装のマスターミラーによって打ち倒されたのだ。自身の存在理由を否定された気がしたおれは家に閉じこもり三日三晩思い悩み、そして四日目の早朝にヤツが来た。御影キョウジとマスターミラーが。 四日目。つまり昨日の事だ。部屋で腐っているおれに見兼ねたシルヴィアが呼んだと言う。アドレスは例のバトルの直後、シルヴィアに手渡されていたらしい。 当初は彼らの真意がわからなかったが、勝手に家に入ってくるなり腐った三日間で荒れ放題になった部屋を清掃し始め盛大な朝食を作りだし「めしあがれ」等と突き付けられると、御影はおれを元気付けに来たのか? と思い始めた。 その時は正直、ヤツの印象が「よく喋るヤツ」から「よく喋る変なヤツ」に変更された、位にしか思っていなかった。 会場に到着し、会場施設の二輪駐車場が無料であることを確認してから駐車。 大会エントリーを早めに済ませ、人影少ない選手控え室でモバイルを立ち上げ戦術、戦略の確認を行う。新戦術など何も用意していない。既存の戦術を敵のタイプ別にあてはめて考察する。モバイル内に展開する仮想空間上に敵の戦闘データをシンボルとして躍らせる。それに対してシルヴィアがリアクションを起こし、既存戦術の復習をこなすだけだ。 そうだ。おれたちに新戦術など必要無い。そう思うよう仕向けたのは何と、御影キョウジその人であった。 「シルヴィア、ぼくとデートしませんか?」 おれが山盛りの朝食を平らげてると突然、御影キョウジは言った。 なんだ、シルヴィアと、デートだ? ふざけるな。と出かかったが、 「キミのお相手はマスターミラー」 こう切り出された。自分の中では大負けした相手と仲良く出来るか。と言う感情があったが、おれの思惑とは正反対にシルヴィアはミラーと意気投合していた。 「だってあのツガル武装をあそこまで使いこなされれば、やっかむのを通り越して尊敬するわ」 「それは私とて同じだ。本来ならすべての攻撃を『ミラー』で捌くつもりだったが、機動ユニットを盾に使わざるを得ない 事態は予想外だった。シルヴィアの能力に対して私は敬意を持っている」 どうやら塞ぎ込んでいたのはおれだけだったようだ。 「シルヴィ、お前のマスターはナイーブ過ぎるぞ。軟弱なマスターを鍛え直すのも神姫の務めだ」 「うちのマスター、私の言う事には聞く耳持たないのよ。今日はマスターの御守をよろしくね」 「任せるがいい。私はお前のマスターを過大評価しない。全力で御守してやる」 御影の申し出。断るつもりは無かった。正確には、断る気力も無かった。 戦術研究を終えシルヴィアとモバイルの接続を切る。次は武装の動作確認。もちろん前日にチェックを終えているが、これもこなす。 人の気配がまばらだった控え室も大分賑わってきた。地区大会の上の全国大会だ。周りの神姫が纏う装備は一目見ただけで洗練されたカスタム武装だと言う事がわかる。この中でデフォルト武装のおれ達は随分と浮いていた。だが、構うものか。まずは武器の動作確認。続いてスラスターの稼動を確認。センサー類のチェック。 そうやっているうちに、控え室に備え付けられたモニターに大会の開催式が映し出される。 同時にバトルトーナメントの対戦組み合わせ表が発表された。シルヴィアの名前と《ミラー・オブ・オーデアル》マスターミラーの名前が意外と近いのを確認。参加者の数は膨大で、大会前半の進行は会場に複数設置されたバトルスペースで順次バトルを行うプログラムになっている。 控え室スピーカーからバトル参加神姫の名前が次々と呼ばれる。その中にマスターミラーの名が含まれており、おれとシルヴィアは静かに闘志を燃やす。 やがてスピーカーからシルヴィアの名前が呼び出された。 「……《レッド・ホット・クリスマス》シルヴィア、六番バトル場へおこしください。」 《レッド・ホット・クリスマス》。この二つ名を命名したのも御影キョウジだった。 御影がデートと称して連れ出した場所。バイクで30分ほど飛ばした場所にある商店街。その中に建つ「ホビーショップ エルゴ」。シルヴィアは御影と、おれはミラーと入店する。 御影のヤツは最近エルゴに通い始めたらしく、早速店長と会話を始めていた。おれは店先の品揃えから初めて訪れた店のレベルを値踏みしようとした。が、あまりのレベルの高さに言葉を失う。 パーツはオフィシャル武装のバラ売りからハンドメイド装備まで。メンテナンス用品は廉価版から最高級品。おまけに非常に可愛らしい神姫用衣類まで扱っている気合の入りっぷり。店頭に並んでいない商品も情報端末で検索、発注すれば倉庫から取り出せる仕組みになっていた。これら大型神姫センターに引けを取らぬ品揃えとサービス、それでいて価格は抑えられており、この店の経営者のやる気がヒシヒシと伝わってくる。ホビーショップエルゴの鬼気迫る経営戦略を抽象的に表現すれば、「見晒せ、俺の男気!」ではないだろうか。 後でシルヴィアから聞いた話だと、シルヴィアをエルゴの店長に紹介する際に御影が《レッド・ホット・クリスマス》の二つ名を、まるで前からそう呼ばれてたかのように冠して紹介したらしい。何でも「南半球で繰り広げられる真夏のクリスマスの、浜辺に寄せては返す波のような、高度な戦術を評して」だとか。それまでは二つ名など興味ない。と言った雰囲気のシルヴィアだったが、内心うれしく思ってるのは確かだ。目が笑ってる。 大会選手控え室からバトル会場へ。圧倒的なギャラリー。広大な空間。眩しすぎる照明。周りのバトルスペースで戦う参加者達。緊張感を感じるが、これに押しつぶされる事は無い。バトルが始まれば緊張感が消える事を知っているからだ。このテンションでもって、荒ぶる気持ちをなだめすかす。周りの熱狂が反作用し、思考が冷静に冴え渡るのを感じる。持てる技術と育てた戦術。強さと言う自信が身体から溢れれば、総ての要素が力となる。 第六会場で対峙するシルヴィアと猫型。戦闘開始のカウントダウンまでの間に敵の武装情報を探り出す。敵は猫型素体の特性を伸ばすカスタマイズ、高い運動性と装甲を利用した、近接戦闘が得意なタイプと予測。一見、遠距離からの狙撃が有効に見えるが、相手が装甲に物を言わせれば強引に接近される危険性がある。格闘武器でフル武装する神姫に接近戦を挑まれてはシルヴィアは手も足も出ないだろう。ならば、相手が格闘を挑んで来るタイミングで、こちらからも格闘を仕掛ける。ただしこの格闘は囮。敵の虚を着き一気に離脱。その際に生じる隙に付け入る。 これらをまとめ、急接近と急速離脱を繰り返す一撃必殺戦法をシルヴィアに伝える。 不敵な笑みで応える《レッド・ホット・クリスマス》シルヴィア。 シルヴィアの一回戦目が開始された。 ホビーショップエルゴは一階がショップに、二階はバトルフロアになっていた。 肩の上に乗るミラーが言うには、キョウジがおれ達を引っ張り出した真意は二階にあるそうだ。ショップでのパーツチェックもそこそこに、バトルフロアへ足を運ぶおれとミラー。フル稼働中のバトル筐体と休憩スペースを備えた二階は盛大に盛り上がっていた。 休憩スペースにはバトルをモニタ出来る大型スクリーンが備え付けられていた。既に休憩スペースのベンチに根を張っていた御影とシルヴィアが何か会話をしている。 おれ達は、彼らから離れたスペースで試合を観戦し始めた。常時携帯しているモバイルでタクティカルアナライザーを起動、次々と登場する個性的な神姫達の戦術を分析し始める。二丁拳銃を使いこなす兎型や、狙撃と格闘に長けた(シルヴィアと同じスタンスだ!)眼帯の悪魔型、同じ悪魔型でもレッグパーツの脚力を駆使した空中殺法を得意とする神姫、高機動ユニットを背負い分身等の電子戦を織り交ぜた格闘戦を得意とする猫型など等。彼女達の戦う姿は戦略分析を抜きにしても楽しませてもらった。中には逆光を浴びて名乗りを上げるマントの騎士型なんていたな。 だが、彼らの戦術は個性的で、個々の能力を完全に活かしきった戦闘をしていた。言い方をかえれば強烈に完成し過ぎているのだ。今のシルヴィアが取り入れられそうな戦術はほとんど無い。こんなバトルを見せる為にヤツはおれ達を引っ張り出したのか? この時点でも、おれは御影キョウジの真意を推し量る事は出来なかった。 しかし後のミラーに言わせれば、この時のおれはワクワクした表情で「ウホッ、こいつらと対戦してみてえ」と顔に書いてあるようだったらしい。 続く 戻る TOPへ 次へ